スペインで住宅危機 家賃5倍超え強制退去…87歳女性死亡に怒り 欧州各地でデモ拡大

スペインで住宅危機 家賃5倍超え強制退去…87歳女性死亡に怒り 欧州各地でデモ拡大
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 フランスでデモが激しくなっていますが、そのデモがヨーロッパの各地に今、拡大をしている状況です。スペインでは、家賃が5倍になって自宅を退去せざるを得なくなった87歳の女性が死亡したことが発端となり、大規模なデモが起きています。

【画像】ごみが燃やされ通れない道路 スペイン・バルセロナで起こったデモ

欧州でデモ拡大

 イタリア北部ミラノでは、若者らおよそ2000人が集まり、暴動が発生。略奪行為が起きる事態に。

イタリア・ミラノ
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 ミラノ大聖堂など歴史的建造物も多く点在するミラノの中心地です。

ミラノ大聖堂
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 警察は催涙弾や放水などで応じ、200人以上を拘束。その8割は未成年だとしています。

アルバニア
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 さらに、サザン島などビーチリゾートが人気の東欧アルバニアでも、政府への不満を背景に学生主導の抗議デモが発生。

アルバニア・ティラナ
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 首都ティラナでは、デモ参加者らと警察との激しい衝突が起こりました。

一部が暴徒化 略奪行為も

 ユネスコの世界遺産にもなった世界一美しいと称される広場「グランプラス」があるベルギーでは、教育現場の改善を呼びかけ、学生たちがデモ行進。

ベルギーの世界遺産「グランプラス」
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 首都ブリュッセルでは、警察から催涙弾が放たれ、デモ参加者が逮捕される様子も見られました。

ベルギー・ブリュッセル
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 そして、17世紀の面影を残すフランス北部の街リールでも、生活苦への不満を背景に一部の人が暴徒化しました。

フランス・リール
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 破壊された店舗で繰り返される略奪行為。ヨーロッパ各地で激しさを増すデモに専門家は警鐘を鳴らします。

慶應義塾大学 鶴岡路人教授
「フランスのデモをきっかけに他の国でもデモが起きると。これは生活費高騰という社会経済問題が共通している。ヨーロッパの場合は社会問題も共通しがちで、デモが国境を越えて飛び火することが今までにも起きていた」

デモ発生 理由は家賃高騰

 スペイン第2の都市バルセロナで起こったデモ隊と警察の衝突。警察はデモの参加者に対し、警棒を振るっています。

スペイン・バルセロナ
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 一方でデモ隊が警察に対し、物を投げつける様子も見られました。街の道路ではごみが燃やされ、通れない状態です。

 デモが起きた理由は、家賃の高騰です。

デモ参加者
「こんなに高い家賃を払い続けることはできません。そして今こそ、政治的な行動を起こすべき時だと思います」

激しい抗議活動へのきっかけ
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 家賃高騰への不満が激しい抗議活動へつながったのには、あるきっかけがありました。

 建物からストレッチャーに乗せられ出てきた1人の女性。救急車で病院へ搬送されていきます。

アバスカルさん(当時87)
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 首都マドリードのマンションに住んでいたアバスカルさん(当時87)です。

 先月23日、70年以上住み続けた自宅から立ち退きを余儀なくされました。

アバスカルさん
「政府は、人々には住む権利があることを理解すべきです。人を食い物にする企業が働かないで富を築くために、人々を立ち退かせることは許されません」

家賃5倍超え強制退去

 女性が住んでいたマンションは投資会社に買収された後、家賃が日本円でおよそ8万9000円からおよそ47万円に高騰。5倍を超える値上げです。

5倍を超える値上げ
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 地元メディアによると、女性の年金は月およそ24万円で家賃が支払えず、立ち退きを強いられたといいます。

抗議行動を展開
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 退去の日、外では数百人が「殺人者め」「恥を知れ」「あなたは一人じゃない」と、抗議行動を展開しました。

抗議活動の参加者
「大企業の利益のために行われるこうした立ち退きは、基本的人権をないがしろにしている最たる例です。今は大きな失望を感じていますが、私たちは戦い続けます」

女性死亡でデモさらに激化
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 女性は立ち退き以来、重度の不安と疲労のため入院しましたが、今月7日に死亡しました。

 すると、これを機にスペイン各地で住宅問題への抗議デモがさらに激しさを増しました。

スペイン都市部の家賃高騰

 王宮など歴史ある建物が並び、多くの観光客が訪れる首都マドリード。

スペイン・マドリード
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 3年住んでいるという男性・エウヘニオさんは、家賃の高騰に危機感を示します。

「他の都市から引っ越してきた友人も何人かいるんですけれども、そのほとんどがもう何カ月も家がなかったりとか、逆に家を追い出されて、なかなか家が見つからない。結構シビアな環境になっているというふうに言えると思います」

市内の2LDKの物件に住む
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 エウヘニオさん自身は、市内の2LDKの物件に住んでいるといいますが、そこにも影響が出ています。

「今、僕が住んでいるマンションが5年前は1000ユーロ(日本円で約18万円)ぐらいでは借りられた。(現在は)1.8倍(約32万円)くらいに。(相場は)だいたい倍は言えるんじゃないかなと思います」

「不満がたまっているのを感じる」
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 マドリード在住5年の隅谷さんによると、住む人の中には、こんな人もいるといいます。

「初めての仕事で、親元を離れて一人暮らしを始めたけれど、5~6カ月後には、こんなにお給料から家賃が引かれるって、遊べないし、貯金もできないから、実家にいたほうが貯金できるというので、(実家に)戻っている人とかよく聞きますね。マドリードに住んでいる人たちの不満がたまっているのを感じます」

家探し難航 決定は1年後

 さらに、サグラダ・ファミリアなど、名所が建ち並ぶ観光都市・バルセロナへ2年前に移住した日本人男性・コバケンさんはこう話します。

「家が足りないというのが、一番の問題な気がします。皆必死で条件を落としてでも、自分の家を見つけたいという意思で動いている気がします」

サグラダ・ファミリア
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 バルセロナは、家賃の高さだけでなく家探しそのものが大変だったといいます。

「本当に見学につながるのは、100件送って1件みたいな感じ。見学が決まったとしても、実際に見学に行ってみると、20~30組の方々が同タイミングで来たりするので、その中で選ばれるというのは難しかったです。2024年12月から1年間、家を探して、ようやく1年後に決まったというような感じだったので」

スペインで家賃高騰なぜ?

 なぜスペインではこれほどまでに家賃が高騰しているのでしょうか。

スペイン領土セウタ
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 北アフリカにあるスペイン領土セウタの映像。今年7月、隣接するモロッコから大量の移民が流れ込みました。

 こうした移民の増加が家賃高騰の一因になっていると専門家は指摘します。

第一ライフ資産運用経済研究所
首席エコノミスト
田中理氏

「移民で労働者不足を補おうと政策を推進した結果、人口自体が増えました。それがスペインの経済成長を後押ししている部分もあるんですけれども、他方で住宅の供給が追いつかないと。それが住宅価格の上昇を招く一因といわれている」

約70万戸の住宅不足
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 スペイン銀行の推計によると、需要と新築住宅供給の不均衡からおよそ70万戸の住宅不足が起きているといいます。

 さらに、別の要因も…。去年6月、バルセロナでは市民が観光客に水鉄砲を浴びせる事態に。これは、観光客の増加により一般住宅を民泊化することへの抗議行動です。

スペイン・マジョルカ島
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 スペイン東部のマジョルカ島では、住宅の民泊化による被害者が出ています。

 65歳の女性は12年住んだアパートからの立ち退きを迫られました。

「ここが私の(前の)家です。この4階に12年以上、住んでいたんです。改装されたのが分かりますね。バケーションレンタル用に改装されたようです」

民泊として利用で買い取り

 地中海に浮かぶ世界有数のリゾート地・マジョルカ島。パルマ大聖堂をはじめとする歴史的建造物が点在しています。

立ち退きに遭った女性(65)
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 そんな観光名所からも近い場所にあるアパートを民泊として利用するため投資ファンドが買い取り。住んでいた女性には突然立ち退きの連絡があったといいます。

 その結果、女性は今年6月に退去。退去後、2カ月間は車での生活を余儀なくされました。

(2026年10月21日放送分より)

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