プロ野球選手を目指す選手にとって、目標の一つであるプロ野球ドラフト会議が明日(10月22日)午後4時50分から行われます。
今年のドラフト会議では、侍ジャパン大学代表の青山学院大学・鈴木泰成投手(22)や、二刀流の山梨学院高校・菰田陽生選手(17)など、将来のプロ野球を担うことが期待される選手たちに大きな注目が集まっています。
ドラフト会議では、ファンや選手にとっては、各球団がどの選手との交渉権を獲得するのかという点に注目が集まりますが、球団にとっては、狙った選手との交渉権を獲得するために、どの選手をどのような順番で指名するのかという戦略も、重要なポイントです。
そこで今回は、ドラフト会議の指名順がどのように決まるのか、1巡目と2巡目以降の違いを含めて、分かりやすく解説します。
プロ野球ドラフト会議とは?
プロ野球の「ドラフト会議」は、正式には「新人選手選択会議」といいます。
高校生や大学生、社会人など、これまでNPB(日本野球機構)の球団と選手契約を結んだことがない選手を、12球団が指名して獲得を目指すための会議です。
ドラフト制度には、各球団が新人選手を公平に獲得する機会を設けることで、球団間の戦力差が大きくならないようにする「戦力均衡」の役割もあります。
球団が新人選手と契約するためには、まずドラフト会議でその選手との契約交渉権を獲得する必要があります。
つまり、ドラフト会議で指名されたからといって、その時点で入団が決まるわけではありません。球団が獲得したのは、あくまで「その選手と契約について交渉できる権利」です。
2025年ドラフト会議で佐々木麟太郎選手が指名を受けたが
代表的な例が、2025年ドラフト会議でソフトバンクが1位指名した佐々木麟太郎選手(21)です。
スタンフォード大学に在学していた佐々木選手は、ソフトバンクとDeNAの2球団競合となり、抽選の結果、ソフトバンクが交渉権を獲得しました。海外の大学に在学中だったため、交渉期限は通常より長い翌年7月末までとなりました。
その後、佐々木選手は2026年のMLBドラフトでマイアミ・マーリンズから指名され、ソフトバンクへの入団ではなく、マーリンズと契約する道を選択しました。
このように、ドラフト会議で球団が獲得するのは、あくまで「契約交渉権」です。
指名された時点で入団が決まるわけではなく、選手との交渉や、その後の進路によって入団に至らないケースもあります。
どんな選手がドラフトの対象になる?
ドラフト会議の指名対象となる「新人選手」には、高校生、大学生、社会人などが含まれます。高校生や大学生の場合は、それぞれの野球連盟にプロ野球志望届を提出し、公示された選手であることが条件です。
一方、社会人野球の選手には、登録後一定期間はプロ野球の球団と契約できないというルールがあります。
また、日本の中学校・高校・大学に在学した経験がない場合でも、日本国籍を持つ選手は新人選手として扱われます。外国のプロ野球組織に所属したことがある選手についても、一定の手続きを行うことでドラフト会議の指名対象となる場合があります。
ドラフトで獲得するのは「契約交渉権」
ドラフト会議で球団が選手を指名すると、その球団に選手との契約交渉権が与えられます。
この交渉権は他球団に譲ったり、途中で他球団へ移したりすることはできません。また、球団が期限までに選手と契約を結べなかった場合、その選手に対する交渉権を失います。
基本的には、ドラフト会議の翌年3月末までに契約を結び、支配下選手として公示する必要があります。ただし、日本野球連盟所属選手や海外の学校に在学中の選手など、一部には別の期限が設けられています。
1巡目は同時入札・抽選
ドラフト会議で最も注目されるのが1巡目の指名です。1巡目では、12球団が同時に希望する選手を指名します。
単独指名の場合
1球団だけが指名した選手は、その球団が交渉権を獲得します。
複数球団が指名した場合
複数の球団が同じ選手を指名した場合は、抽選になります。抽選に当たった球団が、その選手との交渉権を獲得します。
外れた球団は、まだ指名されていない別の選手を改めて指名します。そこで再び指名が重複すれば、また抽選を行います。こうして、12球団すべての1巡目の交渉権が決まるまで繰り返します。
いわゆる「外れ1位」と呼ばれるのは、この1巡目の抽選に外れた球団が、改めて別の選手を指名することです。「外れ1位」でもプロの世界で活躍した選手は数多くいます。
代表的な選手が、巨人でプレーする坂本勇人選手(37)です。2006年ドラフト会議で堂上直倫選手(中日・2023年に引退)の外れ1位で巨人に入団しました。
右打者としては最年少記録となる2000本安打達成、首位打者やシーズンMVPを獲得し、侍ジャパンでも選ばれた、歴代屈指の遊撃手です。
現行のドラフト制度となった2008年以降での最多競合数は、2017年ドラフト会議で7球団から1位指名を受けた早稲田実業高校の清宮幸太郎選手(27)です。
日本ハム、ロッテ、ヤクルト、巨人、楽天、阪神、ソフトバンクの7球団で抽選の結果、日本ハムが交渉権を獲得しました。
高校通算111本塁打を記録した清宮選手には、ドラフト会議前から大きな注目が集まっており、7球団が競合したことは、その期待の大きさを象徴する出来事となりました。
2巡目以降は「ウェーバー方式」
2巡目以降は、1巡目とは指名方法が変わります。
ドラフト会議の指名順には、その年のセ・パ両リーグの公式戦順位が関係します。その年に優先権を持つリーグを基準として、両リーグの順位を組み合わせて指名順を決定します。
2巡目は順位の下位から指名し、3巡目は順位の上位から指名します。その後も、「下位→上位→下位→上位」と交互に折り返しながら指名していきます。
このため、2巡目の最初に指名する球団と、3巡目の最初に指名する球団は異なります。
2026年度はパ・リーグが優先権を持つため、指名順は「パ・リーグ6位→セ・リーグ6位→パ・リーグ5位→セ・リーグ5位……」という順番になります。
何人まで指名できる?
ドラフト会議では、原則として全球団合計120人に達するまで選手を指名します。各球団は原則として10人まで指名できます。
ただし、他球団が10人に満たない人数で「選択終了」とした場合など、全体で120人に達していなければ、11人目以降の選手を指名することができます。
なお、ファーム参加球団の所属選手、国内の独立リーグ所属選手、外国のプロ野球選手などを指名した場合は、この120人の人数には含まれません。
ドラフト会議が終わったら「育成ドラフト」
新人選手選択会議が終了した時点で、指名された選手が合計120人に達していない場合、希望する球団が参加して育成選手選択会議(育成ドラフト)が行われます。
ここで指名された選手は、通常の支配下選手とは異なり、育成選手として契約することになります。
支配下選手と育成選手では、1軍の公式戦に出場するためのルールなどが異なります。
ドラフト会議の流れ
ドラフト会議の流れを簡単にまとめると、次のようになります。
スター選手誕生の瞬間
今年アメリカの野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(52)や、ロサンゼルス・ドジャースで活躍する大谷翔平選手(32)も、ドラフト会議を経てプロの世界へ進みました。
イチロー氏は1991年ドラフト会議でオリックス・ブルーウェーブ(当時)から4位指名を受けており、ドラフト1位だけが将来のスターになるわけではないことを示す代表的な存在です。
また、メジャー挑戦を表明していた大谷選手は、2012年ドラフト会議で日本ハムから1位指名を受けました。その後、栗山英樹監督ら(当時)の熱心な交渉を経て日本ハムへの入団を決意。現在では、メジャーリーグを代表する選手へと成長しました。
今夏の甲子園を湧かせた横浜高校の織田翔希投手も、大谷選手同様にドラフト会議前に日本のプロ野球を経ずにアメリカ挑戦を表明し、動向が注目されます。
果たして今年は、どの球団が交渉権を獲得し、どの選手がプロ野球への第一歩を踏み出すのか。新たなスターが誕生する瞬間にも注目です。
