
アメリカのウィトコフ特使がプーチン大統領と会談し、ウクライナとの新たな和平案を提示した。一方、これまでアメリカ頼みだったヨーロッパでは、独自の和平案を模索する動きが出ている。
トランプ大統領がウクライナに圧力か
まずはウクライナ和平に向けたアメリカの動きを見ていく。ウクライナへの圧力を強めている。
ゼレンスキー大統領は14日、トーク番組のインタビューで、トランプ大統領に「裏切られた」と感じているか?と問われ、「本当にそうだ。強力なパートナーを失うのは残念なことだ」と述べた。
この発言の背景には、トランプ大統領からの“停戦圧力”がある。
まずは、経済の分野。アメリカはロシアへの制裁を緩和して、ロシア産の軽油を購入できるようにした。
そして、軍事情報。ウクライナは、アメリカから得ているロシアの弾道ミサイル発射に関する情報が、一時遮断されたと主張している。
さらに、通信分野では、ウクライナがドローンの制御に活用しているアメリカ・スペースX社の衛星通信網「スターリンク」の機能が制限されたという。
このうちミサイル攻撃に関する情報提供について、ゼレンスキー大統領は20日に行ったアメリカのウィトコフ特使との協議後、「今は情報(提供)が機能していて感謝している」と述べた。
一方、スターリンクに関しては、制限解除への期待を表明したが、ウォール・ストリート・ジャーナルは22日、トランプ大統領はマスク氏が通信制限を「元に戻した」と明らかにしたと伝えた。
米ロが接近?新たな和平案提示
そのアメリカは、ロシアとの距離を縮めている。
アメリカのウィトコフ特使は21日、ロシアでプーチン大統領と会談し、ゼレンスキー大統領らとまとめた「新たな和平案」を説明。さらに、アメリカ・ウクライナとの3者協議に戻るよう要望した。
そもそも、ロシア側の和平合意の条件だが、ロイターが1月に伝えたところによると、ウクライナ東部ドンバス地方全域の支配権をロシアに引き渡し、東部・南部のほかの地域では戦線を凍結することを想定しているという。
では、今回の新たな和平案にロシアはどんな反応を見せたのか?ロシア大統領府は「役に立つものはほとんど無かった」としている。
ただ、プーチン氏は11月中旬の協議再開には前向きな姿勢を示したといい、実現すれば、イラン攻撃で中断した2月以来となる。
一方、今回の会談に合わせて2022年からロシアで拘束されていたアメリカ人の元教師・ハバード氏が解放された。これを受けてウィトコフ氏はプーチン大統領を「人道主義者」と称賛したという。
このようにロシアに接近するアメリカにウクライナは不信感を募らせている。
ウクライナの不満・不信感とは?
トランプ大統領は20日、ロシアが戦場で優位な状況にあるとして、ウクライナに対し、戦闘終結に向けた合意に応じるよう求めた。ゼレンスキー大統領が合意を望まないなら、「事態は極めて悪い方向に向かう」と警告した。
しかし、ゼレンスキー大統領はこの発言に先立ってブルームバーグの取材に対して、「アメリカにいるパートナーが『ウクライナに犠牲を強いることで早期終戦を実現できるかもしれない』と考えているとは思いたくない。ただ、実際にはそう見える」と不信感を募らせていた。
欧州“トランプ懐柔外交”から決別か
そんな中、欧州は独自の和平案提示の可能性が指摘されている。キーワードは「トランプ懐柔外交からの決別」だという。
19日のイギリス「フィナンシャル・タイムズ」は、ヨーロッパの首脳はプーチン大統領との直接対話に向けて、準備を進めていると伝えている。
その背景として、記事では「Trump-whispering」=“トランプ懐柔外交”の有効性に対する疑念が強まっていると指摘している。
“トランプ懐柔外交”とは、どういうものかというと、ヨーロッパの首脳らがトランプ氏と接触を重ね、機嫌を取りながら、アメリカのウクライナへの厳しい姿勢を和らげようとする外交手法だという。
欧州がロシアに提示か 和平2案
これまでトランプ氏の顔色をうかがっていたヨーロッパ各国だが、独自の和平案をロシアに提示する可能性があるという。
フィナンシャル・タイムズは、ヨーロッパ側が提示するかもしれない2つの案について伝えている。
1つは、現在の前線で戦闘を終結させ、ウクライナはNATOに加盟しないことを保証するというもの。
もう一つは、まだ支配されていない地域も含め、ドンバス地方全域をロシアに割譲するが、ウクライナのNATO加盟を認めるというもの。
欧州が米国と決別できない理由
だが、独自の和平案を模索しながらも、ヨーロッパはアメリカと決別できない現状があるという。
ウクライナ支援のこれまでの累計額を見ていく。EUとヨーロッパ諸国によるウクライナ支援は2370億ユーロ(約41兆6000億円)で、アメリカからの支援は1150億ユーロ(約20兆2000億円)。ヨーロッパの方が2倍以上多くなっている。
しかし、ミサイル迎撃システム「パトリオット」、弾道ミサイル早期警戒情報、通信衛星網「スターリンク」など、軍事・技術面の支援に関しては、今もアメリカに依存しているのが現状だという。
(2026年10月23日放送分より)
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