「究極の犠牲」息子も戦死 ネタニヤフ氏対抗馬アイゼンコット氏 イスラエル総選挙

「究極の犠牲」息子も戦死 ネタニヤフ氏対抗馬アイゼンコット氏  イスラエル総選挙
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「イスラエルはいま、分断をもたらす指導者に率いられている」

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選挙中の党大会でネタニヤフ首相を痛烈に批判したのは対抗馬の野党ガディ・アイゼンコット氏(66)。10月27日に実施されるイスラエルの総選挙では、ガザ地区でイスラム組織ハマスとの戦闘やイランとの直接衝突も招いたネタニヤフ首相の強硬路線に国民がどのような判断を下すのかが最大の焦点となっている。この選挙結果が、今後の中東情勢にどう影響するのか紐解く。
(カイロ  松本 拓也)

ネタニヤフ陣営が議席減で苦戦か…第1党予想のヤシャル党首アイゼンコット氏ってどんな人!?

イスラエル 2026年10月13日
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アイゼンコット氏が設立した中道政党ヤシャルは今回の選挙で台風の目となっている。

選挙戦も終盤に差し掛かっているが公共放送や民放チャンネルの一部世論調査で、20議席以上を獲得する予測が示され、ネタニヤフ首相率いるリクードを上回るとも伝えられている。

そんなアイゼンコット氏はイスラエル北部ティベリヤでモロッコ系ユダヤ人の家庭に生まれた。18歳でイスラエル軍に入隊後は、精鋭部隊のゴラニ旅団に所属し軍一筋でキャリアを積み上げていった。2015年からは制服組のトップ参謀総長も務めた人物だ。

政界入りしたのはわずか4年前で、ガザ地区での戦闘時にはネタニヤフ首相の呼びかけで戦時内閣にも参加した。しかし、人質解放か、戦闘の継続かをめぐりネタニヤフ首相と対立し、その後離脱することになる。地元メディアには、こう明かしていた。

「人質解放の大部分はトランプ米大統領のおかげだった。ネタニヤフ首相は人質解放交渉に反対していて、私は戦時内閣で彼がいかに交渉を頓挫させたかを目の当たりにした」

2023年12月には、イスラエル軍の兵士としてガザ地区で任務にあたっていた息子のガル氏(25)が爆発に巻き込まれ死亡しているほか、甥2人も同様に犠牲となっている。

「究極の個人的な犠牲を払った」

こう表現されるなど、遺族としての側面も国民から多くの同情を得ているとされる。ネタニヤフ首相のように演説に長けてはいないが、実直な人柄も評価されてきた。

境界の向こうにはガザ地区が 頭を抱えるアイゼンコット氏  イスラエル南部 2026年10月15日
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第1党獲得でも単独では過半数割れ…ネタニヤフ氏が暫定首相も!?選挙後の連立交渉も焦点に

27日に投票が実施され、世論調査の通りヤシャルが第1党になったとしても、定数120議席の中では遠く過半数に及ばない。

イスラエルの選挙は全国一区の完全比例代表制を採用しているため、多様なスタンスを持つ政党が乱立しやすい仕組みとなっている。今回も当初は38の政党が登録した。有権者は政党に投票をし、得票数に応じて議席数が割り振られる。

こうした構造から実はこれまでに、単独で過半数を獲得した政党は存在しない。大勢判明後に、連立交渉が始まっていき61議席超を目指すことになる。

まずは大統領が、各党の代表と協議し「組閣が可能な人物」を選ぶ。これは第1党の党首が選ばれる可能性が高い。42日以内に交渉が上手くいかず、組閣が失敗すれば再選挙となる。

リクードの支持基盤で演説するネタニヤフ氏 イスラエル・ディモナ 2026年10月21日
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そうなれば、現在の首相であるネタニヤフ氏が暫定首相として政権運営を続けることもあり得るのだ。汚職問題で裁判にかけられているネタニヤフ氏にとっては、司法リスクを回避するうえでも、何としても首相の座にしがみつきたいはずだ。

イスラエルでは2019年から2022年にかけて再選挙を繰り返した過去もあり、今回も連立交渉がカギとなる。アイゼンコット氏の率いるヤシャルも「反ネタニヤフ」を掲げる野党内で交渉を進めるとみられるが、それでも過半数には届かない予想となっている。ネタニヤフ首相のリクードも同様だ。

最後の数議席をめぐり、「アラブ系政党」と組む選択肢も考えられる。アイゼンコット氏自身は、条件次第でその可能性は排除していないが、野党陣営の一部は協力を拒んでいる。長期に及んだハマスとの戦闘もあり、ユダヤ系の有権者を置き去りにして、アラブ系の政党と連立を組めば反発がでるとの理由からだ。

アイゼンコット氏が政権樹立成功なら…今後の中東情勢どうなる!?

アイゼンコット氏は、2023年10月のハマスによる襲撃に関して、国家調査委員会の設置を訴えてきた。首相になれば、「すぐに政府内で可決する」とも主張している。

一方で、イランの核問題に関してはネタニヤフ政権と同様に危機感を示していて、アメリカの強硬姿勢を積極的に支持する考えを示している。ガザ地区については、ハマスの武装解除を前提とするほか、パレスチナ国家の樹立にも反対の姿勢は現政権と変わらない。野党の多くもパレスチナ国家樹立に関しては、否定的か慎重な姿勢で、もし新政権が誕生してもこの点は大きく進展しない可能性が高い。

ネタニヤフ政権は極右政党の後ろ盾で強硬路線を続け、国際的な非難を浴びて孤立を深めた。アイゼンコット氏が新政権を率いることになり、そこから極右政党が外れれば、停滞するガザ地区の和平計画にも進展がみられるかもしれない。

国民は口を揃えて「イスラエルの歴史で最も重要なものになる」と語る。投開票まで残りわずか、選挙戦の行方に注目したい。

ネタニヤフ氏の支持者の横を通るバスにはアイゼンコット氏が エルサレム  2026年10月9日
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