
アメリカの住宅ローン金利の上昇が国民生活を直撃し、中間選挙で与党・共和党に逆風となっている。そんな中、トランプ政権を巡る“腐敗”が選挙戦の争点に急浮上している。
【画像】「何が起きても」選挙結果を受け入れる? トランプ大統領の答えは…
“生活のゆとり”最大の争点の一つに
まずは、アメリカ国内のインフレについて、トランプ大統領の主張を見ていく。
「インフレを終わらせる」という公約が、“ブーメラン”になっているという。
2024年の大統領選で、共和党が掲げた選挙公約の一つが「インフレを終わらせる。そして、アメリカを再び手ごろな価格の国に」=「Make America Affordable Again」というもの。これは「国境封鎖」と「不法移民の送還政策」に次ぐ公約だったという。
そして今、“生活のゆとり”すなわち、さまざまなものが手ごろな価格で手に入ることを意味する「アフォーダビリティー」という言葉が、来月3日の中間選挙で最大の争点の一つになっている。
具体的には、住宅、ガソリン、医療費、子育てなどにかかる費用が手ごろであるかどうかということ。
住宅ローン金利の高水準続く
この中から今回、番組は「住宅」について注目した。
アメリカ住宅都市開発省によると、「Affordable Housing」、つまり“手ごろな価格の住宅”の定義は、家賃やローン、光熱費などを含む総住宅費が居住者の収入の30%以下である住宅だという。
しかし、アトランタ連邦準備銀行の8月時点のまとめによると、アメリカの所得の中央値付近の世帯、つまり経済的に真ん中辺りの世帯では、住宅ローンや保険など住宅所有にかかるコストが収入の44%を占めるという。
中でも影響が大きいのが、やはり住宅ローン金利だ。トランプ大統領は2024年9月、大統領選の集会で「我々は急速に金利を下げる」「再び2%の金利で住宅ローンが組めるようになる」と述べていた。
しかし現在、アメリカで一般的な30年固定の住宅ローン金利は約7.3%。今月は一時7.5%になるなど、高水準となっている。
インフレ・財政懸念で米国債売り 金利上昇
金利上昇の要因は、トランプ政権の政策が裏目に出たためとも言われている。
アメリカの10年物国債の利回り、いわゆる長期金利と30年固定の住宅ローン金利の推移を表したグラフを見て分かるように、一般的に住宅ローンの固定金利は長期金利を参考に決められるので、このように相関関係がある。
ではなぜ今年に入り、金利が上昇したのか。
トランプ政権は2月下旬、イランへの攻撃を開始した。すると原油高を背景にインフレへの懸念が高まった。
インフレになると一般的に国債の価値が目減りするため、米国債を売ろうとする人が増える。すると、国債価格が下がり、長期金利が上昇。併せて住宅ローン金利も上昇した。
その後、9月に戦闘が激化したことで、金利はさらに跳ね上がった。
そして、実はもう一つ、ダメ押しとなるようなことがあった。
先月10日の共和党大会。トランプ大統領は、中間選挙で共和党が勝てば、すべての成人に一人当たり5000ドル(約78万円)を配る案、いわゆる“トランプ配当”を公約に掲げた。
しかし、財源不明の公約のため、財政悪化の懸念が高まった。するとこれにより、信用が低下したことで米国債が売られ、長期金利が上昇。住宅ローンの金利を押し上げた可能性が高いという。
政権の“腐敗問題”が争点に浮上
さらに今、トランプ政権を巡る“腐敗”が中間選挙の争点に急浮上している。インフレ対策以上に関心を集めているという。
トランプ大統領とは良好な関係とされる保守系メディアFOXニュースによる今月の世論調査では、有権者に聞いた懸念事項で、ガソリン価格やインフレを上回り、最も多かったのが「政府内の腐敗」で88%に上った。この腐敗を巡り、批判の矛先がトランプ大統領に向いている。
アメリカのフォーブスの試算では、9月時点で、トランプ大統領の資産は推定約1兆1000億円。2024年の大統領選で勝利した時に比べ、約1.6倍に増えたことになる。
どのようにして資産を増やしたのか。
6月にアメリカの政府倫理局が公開した、トランプ大統領や家族が関わる暗号資産、いわゆる仮想通貨事業による収入は、去年1年間だけで日本円にして2300億円以上だった。
そもそもトランプ大統領は、就任前の公約で「アメリカを暗号資産の首都にする」と宣言していた。また、就任後も暗号資産の規制を緩和するなど関連市場の拡大を図ってきた。
こうした中で、大統領の権限をビジネスに利用しているとの批判の声も上がっていた。
こうした批判について、トランプ大統領はアメリカの放送局CNBCの取材に対し、「違法なことはないし、何も問題ない」と反論している。
大統領在任中の株取引などは禁止されていないが、歴代大統領は利益相反や倫理的な問題が生じるのを避けようと配慮したという。
トランプファミリーに相次ぐ疑惑
トランプファミリーにも厳しい目が向けられている。
長女イバンカ氏の夫クシュナー氏は、民間人でありながら中東やウクライナを巡る外交に特使として関わっているが、関連企業を通じて湾岸のアラブ諸国から投資や融資を受けていて、民主党はこれを利益相反の疑いがあると批判している。
また、トランプ大統領の長男ジュニア氏も、5月にカリブ海のバハマで結婚式を挙げた際、ロシアのプーチン大統領に近いロシアの実業家から多額の資金援助を受けていたと報道があった。
ロシアとのつながりが臆測を呼んだが、トランプ大統領は先月「息子から返金とすると聞いた」と弁明した。
さらに、CNNによると、そのジュニア氏の元婚約者であるギルフォイル駐ギリシャ大使が、高額の贈答品を受け取っていたほか、政権幹部との面会を取り持つ見返りに金銭を要求していたとの疑惑が報じられ、13日に事実上の解任となった。
トランプ氏「公正な選挙なら結果容認」
中間選挙で、共和党が負けた場合、トランプ大統領がどう出るのかも注目されている。
トランプ大統領は27日、記者から「何が起きても」選挙結果を受け入れるかと問われ、「その通りだ。公正な選挙であれば受け入れる」と答えた。
(2026年10月30日放送分より)
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