フランス南部のニースで、革命記念日の現地時間14日午後10時半ごろ、花火の見物客にトラックが突っ込み、これまで84名が死亡。地元メディアによると、トラックは人混みのなかを2キロにもわたり暴走。群衆に向かって銃を乱射したという報道もあり、フランス政府はテロと断定した。
突っ込んだとみられるトラックのフロントガラスには無数の銃弾の跡。トラックの中からは銃や手投げ弾が見つかった。トラックの運転手は射殺されたが、捜査当局は運転手の身分証を押収。運転手はチュニジアとフランスの2つの国籍を持つ、ニース在住の男だという。
■非常事態宣言の解除を発表した日だった
フランス政府は、テロ攻撃と断定。過激派組織「イスラム国」が関与している可能性を示唆した。
またこの日、オランド大統領はフランス全土に出されていた非常事態宣言を今月26日に解除すると発表していた。この非常事態宣言は、去年11月、「イスラム国」によるパリの同時テロ事件が起きて以来出されていたものだ。事件を受け、オランド大統領は26日に解除する予定だった非常事態宣言を3カ月、延長すると発表。また、イラク、シリアへの攻撃を強化することも明らかにした。
■その時、近くのレストランでは
同日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、今回のテロについて、さまざまな角度から紐解いていくため、軍事ジャーナリストの黒井文太郎さん、エジプト出身で2歳の時、来日したタレントのフィフィさんを招き、また現地とも中継をつなぎながら話を聞いた。
ニース市内、現場から900メートルのところにあるレストランのオーナーでシェフの神谷隆幸さんは、番組との生中継にて、現地の様子を聞いた。
――今の状況を教えてください。
神谷さん)朝は人っ子一人いなかったんですが、今は意外と人がいる状態です。ただ、普段と比べるとやはり少ないです。
――当時の様子を教えていただけますか。
神谷さん)花火が終わる10時半頃。お店はまだ営業していて、お客さんも2組残っていて、メイン料理を食べているときでした。外が騒がしいなと思って、見てみたら悲鳴が聞こえて。悲鳴が大きく近づいてくるなと思ったら、人がお店のなかに流れ込んできた。スタッフが外で、大声で「中にはいれ」と叫びました。(入ってきた人たちは)地下(の倉庫)などに逃がして、お店を閉めて電気を消してという感じです。
――銃声は聞こえたのでしょうか。
神谷さん)花火があって、風も強かったので、ちょっとわからないですが、逃げて来た人のなかには、銃声をきいてパニックになっていた人もいました。
――お店には何人くらいの人が逃げ込んだのでしょうか。
神谷さん)25人くらい、子供が6人くらいいました。
――入ってきた人をどうしたのでしょうか。
神谷さん)転んだりして怪我をされた方が数名いたので、その手当をしました。子供には飴をあげて、落ち着いてもらえるように。ほかの人にも落ち着かせるために水を飲んでもらったりしました。
――テロだと…
神谷さん)すぐ思いました。(前回起こった)パリの(テロの)再現映像やビデオなどとまるかぶりしたので、銃をもってきた人が来ても大丈夫なところ、キッチンの奥や地下に逃がしました。パリのテロ以降、いつ何がどこで起こってもいいようにはしてあります。
――花火のときに(テロが起こるという)情報はあったのか
神谷さん)大きなお祭りや、EUROのときなど(大きな大会があるときは)テロの厳戒態勢は厳しくなるので、何事も無いといいと思っていた。みんなEUROでくると思っていたので、気が抜けていたところにきた感じです。
――お店の営業は、今日は…
神谷さん)休もうと思います。後片付けもありますし、スタッフも頑張ってくれたので
――ほかのお店はどういう状況でしょうか。
神谷さん)閉めている所も多いですが、フランスってテロとか何があっても普段どおりやるという気質でもあるので、営業しているところもあります。
■中継)最新現地リポート:時事通信パリ支局/松本泰久さん
松本さんによると、まだ捜査当局からの正式な発表というのは出ていないが、記者会見をする予定とのこと(現地時間15日13時半時点)。地元のメディアの情報によれば、犯人は妻と子供3人がおり、離婚手続き中。DVで捕まったことがあるが、宗教に傾倒しているといことはなかったという話もあるとのこと。
また、過激な思想などによって(当局に)マークされていたということもないという。
パリ市内の状況については、「パリ市内もちょっと静かな感じで、警察や当局の人が目立ち、警戒が強まっているという感じですね」とリポート。緊張が高まっていることをうかがわせた。
■現地のTV局・France2と中継 「記念すべき日に、なんでこんな事故が…」
France2の編集局長、エチエンヌ・レナールさんは、「これから家宅捜査をして真相を追及するようだ。共犯については手がかりが何もつかめていない。国民は7月14日という(大切な)日に衝撃を受けたことについて悲しんでいる」と話す。
フランス国民にとって7月14日とは、18世紀、王政に反対した民衆がバスティーユ監獄を襲撃し、これをきっかけに「フランス革命」が勃発したという歴史的な日なのだ。そのためこの日は毎年、フランス全土がお祭り騒ぎ。
パリでは、華やかなパレードや航空ショーが行われ、あのルーブル美術館も一日中無料になる。国外からも多くの観光客が訪れ、ニースでも、革命記念日を祝う花火大会が行われていた。夏のバカンスが始まる直前、フランス国民にとって、国をあげてのお祭り騒ぎになる、幸せな記念日だったのだ。
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