怪談界の巨匠にして、自らも数多の怪奇体験を持つ俳優・稲川淳二による『稲川淳二の真・恐怖夜話』が放送された8月16日深夜、視聴者の間では彼の語ったある恐怖エピソードが、多くの注目を集めることとなった。
全5夜連続放送の2日目となったこの日、稲川が語ったのは『死神の匂い』『やせていく子供たち』『落武者の兜』『死を語る写真』『ユセフさんのラジカセ』『飯場の霊』『死の伝令』の7つの怪談。そのいずれもが、もはや説明不要の恐怖を覚える内容となったことは言うまでもないが、そうした中で多くの視聴者を絶叫させることとなったのは、『死神の匂い』。
この話は「死神が近づくとその匂いがわかる」という60代の女性・Aさんが体験したという話であるが、彼女は目を悪くして入院した際に、アイマスクをした状態で同室の患者仲間たちと療養生活を続けていたが、そんなある日の夜、Aさんは彼女たちのいる病室に、死神が持つという「ジメついて焦げついて酸っぱい匂い」が近づいていることに気づく。
とはいえ、アイマスクをしているため、彼女はその姿を確認することができなかったが、その匂い と共に、徐々に死神のものと思しき足音が彼女の元へと近づいてきたという。そのため、自分が死に近づいたと感じ、怯える彼女に、その死神と思しき存在は、「あんた、死神がわかるのかい?」と声をかけてきたという。
彼女はその言葉に応じることなく、そのまま恐怖の一夜を明かすこととなったそうだが、翌朝、同室の仲間に異変が。なんと、4人いた同室の入院患者のうち、1人だけが「その日の早朝、いきなり退院した」のだという。つまり、彼女たちが仲間だと思っていたその患者女性は、あろうことか死神が乗り移った人物で、彼女はAさんにその存在を察知されたことで、姿を消したというわけだ。