去年、大阪市で行われた不発弾の撤去。この処理費用の大半を負担した土地の所有者が、今年大阪市に対して費用の返還を求める裁判をおこした。

訴えをおこしたのは、大阪市浪速区の不動産管理業の男性たち。事の発端は、2015年の3月に男性の所有する土地からアメリカ製の不発弾が見つかったことが始まりだ。その後、不発弾は5月に自衛隊によって撤去された。だが、結局、男性たちは、周辺の警備料や不発弾が爆発した場合に備えて積み上げられた土嚢の費用など、576万円の負担を大阪市から求められ、一旦は支払った。しかし、2016年4月、「不発弾の撤去は、戦後処理の一貫として行政がすべきだ」と、この支払いを不服とし大阪市に全額返金を求め提訴。これに対し大阪市は「処理費用は所有者の負担として、裁判で争う姿勢だ。」と発表した。

この件について戦後補償問題に詳しい、四谷総合法律事務所弁護士の内田雅敏氏は「今回こんなケースは初めて聞いた。個人が負担するのかと驚いた。弁護士の間でも負担するのは国だろうと話していた。不発弾の処理は本来、国がやるべきことで、自治体がやるというのもおかしな話だ」と述べた。

また、今回処理費用の返還を求められた大阪市の危機管理室危機管理課の課長間嶋純氏は「費用の分担については、処理当日の交通規制などの広報費用や対策会議にかかる費用などは市が負担している。全面的に土地所有者に負担を強いているわけではない。戦争が国権の発動からであったため、不発弾処理を含めた戦後処理については、本来は国の責任ではないかと市は考えている。このことから、不発弾処理について地方公共団体や個人に負担を押し付けるのではなく、これらの処理費用はすべて国が負担すること、または万が一、不発弾が爆発した場合の保証について国の責任で対処するよう、今年の4月に市長のから国に要望をあげさせている。市は国が対処すべきであるという考えをも持っている。」と述べており、国が責任を持って対処することが一番妥当だ、という声が多くあがっている。

戦時中に投下され、私有地から見つかった不発弾。その処理費用は、自腹か、行政負担か。裁判の行方が注目される。