9月28日、米サウスカロライナ州タウンビルの小学校で14歳の少年が拳銃を乱射し、児童2人と教師1人が負傷する事件が発生した。3人の命に別状はないという。小学校から3km離れた自宅で少年の父親が殺害されていたのが見つかった。少年は父親を殺害した後小学校に向かったとみられている。米NPO団体によると2016年の学校での銃撃事件は36件になっているという。

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なぜ、アメリカではこのような事件が相次ぐのか。『AbemaPrime』(AbemaTV)では在米コラムニスト・町山智浩氏と中継を繋げ、この件について同氏に聞いた。まずは現地での報道状況についてだが、それは意外な答えだった。

「あんまり報道されていないんですよ。もはや珍しくないのでね…。たとえば、9月はもうすぐ終わりますが、9月に乱射で死んだ人は45人いて、ケガ人は155人。8月は187人負傷で43人死亡。7月は249人負傷で60人死亡。毎月こうしたペースで続いているので、今回の程度だと全国報道されない状況になります」

番組キャスターのテレビ朝日・小松靖アナから「麻痺してしまうかのような報告ですが、それほど多い。今年に入って多いとかいうことではないですか?」と例年比としてはどうかが聞かれた。町山氏は例年並みだと語った。そして、どうすればこういった事件が減るかについて解説したが、あまり見通しは明るくない。

「アメリカでは、銃撃による死亡件数は減っています。ただし、『乱射』が多くなっているんです。普通の銃撃は、(金目当てや怨恨の)強盗・殺人でされるもので、乱射は不特定多数。誰でもいいのですね。知らない人を狙う。1950年代~60年代は強盗・殺人事件が多かったですが、最近の乱射事件は、たまたま不満がたまっていたり、精神状態に問題のある人が、銃があったからそれを使ってしまったということになるのです。元々犯罪者気質ではない人が多いのです。普通の人が衝動的・発作的に、というところもある。ギャングじゃないんですよ。やる人達は学生だったり、会社をクビになったサラリーマンだったりする」

こうした事件を回避するためにも、銃規制の一環の中で、「バックグラウンドチェック」という購入時の犯罪歴調査をするが、果たしてこのチェックは機能していないのだろうか。

■アメリカでは銃を規制すると大統領選で負ける

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町山氏によると、乱射事件を起こす者は初犯が多く、前科がない者が多いのだという。ただし、精神状態に問題があることが多く、犯罪歴をチェックしても精神状態は分からない。ただし、(銃規制反対派の)共和党は、精神鑑定をすることには反対しているそうだ。その理由は大統領選にあるという。町山氏はこう語る。

「銃規制を打ち出すと大統領選には勝てないんです。理由は、大統領選でカギとなるのは激戦州での戦いです。五大湖周辺の重工業地帯であるウィスコンシン、オハイオ、ミシガン、ペンシルバニアは銃を持っている人が多いです。彼らのほとんどは狩猟が趣味で、民主党支持であっても、共和党支持であっても、全米ライフル協会の所属者が多いんですね。映画『Deer Hunter』でも見られたように、鹿狩りをしたりしているのですね。彼らは銃が大事だから、銃に反対したら無条件に票が入らない。

前回の大統領選でも、民主党のオバマ氏、ケリー氏両候補とも銃を撃ちに行ったりするイベントを行います。『我々は民主党だけど、銃を撃ちますよ』というアピールをする。五大湖周辺を取らないと、選挙に勝てないんです。その地域の人が大統領選を握ってるので、ヒラリーさんは苦労する。彼女は銃撃っていないですからね。オバマさんですらこの時期はショットガン撃ちにいきましたからね」

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なお、先日行われたドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏のテレビ討論については終始怒っていたトランプ氏と比較し、ニコニコしていたクリントン氏が、音声聞かずとも画面だけ見てヒラリー氏が勝っていると感じた人が多いと分析。見た目の重要性についても町山氏は語った。

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