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10月13日、2016年のノーベル文学賞はシンガーソングライターのボブ・ディランに授与されることが発表された。受賞理由は「新たな詩的表現を創造した」ことだという。歌手の文学賞受賞は今回が初めてで、話題となっている。

ボブ・ディランの受賞、そして候補だと名前があがっていた村上春樹が受賞を逃したことについて、同日にオンエアされた『AbemaPrime』(AbemaTV)では、文学賞の選考基準などに詳しい書評家・大森望さんに話を聞いた。

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大森さん「ボブ・ディランは驚きましたね。春樹さんがとれなかったというよりも、ディランがとったということの衝撃が大きかったです」

——なぜボブ・ディランの詞が、ノーベル文学賞で評価されたのでしょうか?

大森さん「(ノーベル文学賞受賞は)毎回小説のほうが多いんですけれども、詩も選考の対象にはなっているんですね。ボブ・ディランの名前も以前から候補にはなっていて。けど、もし本当にボブ・ディランが受賞したら大騒ぎだなと思いつつみていたら本当に発表されたので驚きました。

なので、全くありえないということではないんです。歌詞を”詩”として評価するっていうのも十分ありうるし、ディランの功績っていうのはそれだけ大きかった。詩人としても素晴らしいということだと思います」

——ノーベル文学賞は、正式に”この人が候補です”っていう発表はされないんですよね。


大森さん「そうなんです。(今)候補に入っていたかどうかっていうのは、50年後にしか明かされない。候補と言われているのは、“賭け屋”の予想なんです」

——村上春樹さんが今回、受賞を逃した理由は?

大森さん「僕は、村上さんは今回の受賞はないだろうと思っていました。今回ディランがとったことで、ますます今後もとりにくくなったと思う。ここ10年くらいノーベル賞発表の日になると、毎回、ファンが集まってお祭り騒ぎをしているんですが、多分、あと10年くらいはお祭りが続けられるんじゃないかなと」

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ーー村上春樹が当分受賞しないのはなぜ?

大森さん「幾つか理由がありますが、一つには、年齢的にも村上春樹さんはまだ60代とお若い。70代、80代でとっていない大物作家がたくさんいます。アメリカの作家だとフィリップ・ロスとか人気のある大御所がいて、アメリカからも最近受賞者が出ていないし、そういう人たちがとるんじゃないかと思われていたけれど、今回ボブ・ディランがとった。村上さんまで順番がまわってくるのは、だいぶ先なんじゃないかと。

あともう一つ、2012年に中国の莫言(ばくげん)さんという人が受賞しました。村上さんと同世代で、比較的若くしてとっているのですが、地域基準でいうと、アジアからの受賞者はしばらく出ないのでは。(地域の)バランスもある程度配慮するんじゃないかっていう見方もあります」

と見解を述べた。

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