米大統領選を終え初の週末を迎えた全米各地ではドナルド・トランプ氏の勝利を受け入れられない人々による“反トランプ”デモが相次いだ。
オレゴン州ではデモ隊の一部が暴徒化、警官隊らが催涙弾を発砲する騒動となった。また、ニューヨークでは1万人以上がデモに参加、「トランプは私の大統領ではない」「トランプを拒否する」などと訴え、トランプタワーに向かって歩く事態に。「悲痛な思いで参加している。思っていることを言いたいだけ、こんなことが起こるなんて」とデモに参加した女性は語る。
同じく大規模なデモが起こったのは、カリフォルニア州。ヒスパニック系移民ら1万人以上が、メキシコの国旗を掲げ抗議の行進を行った。
このようなデモに対し、当のトランプ氏はTwitterで反論。
「メディアに扇動されたプロの活動家らが抗議行動をしている。あまりにも不公平だ!」と反トランプ派を挑発するような“トランプ流”ツイート。
選挙戦中にもTwitterで過激な批判を行ってきたトランプ氏だが、12日、米三大ネットワークの一つであるCBSの看板番組に出演し「私のTwitterなどのフォロワー数は非常に多く、それがパワーになった。対立候補は私より潤沢な資金を選挙戦に投じたが、勝ったのは私だ」とコメント。
さらに「ツイッターなどのSNSは最高のコミュニケーション手段で、言葉を伝えるには便利だ。メディアが自分に批判的な報道をしている時にSNSを使って反撃できた」と、様々な物議を醸したあの“トランプ流”ツイートこそが、大統領選の勝因であったことを示唆したのである。
「マスメディアの多くが反トランプだった。逆にいうと、Twitterを使うことでようやく自分の主張を広く伝えることができた」と、「8bitNews」を主宰する堀潤氏は指摘する。
このようなトランプ氏のツイッターにはどのような戦略が練られていたのであろうか。
早稲田大学招聘研究員の渡瀬裕哉氏は「自分のファンクラブに向かって話しかけるような形になっている」と指摘。「共和党の支持者にやる気が出て投票に行ってくれる、というところさえできれば良い」という狙いのツイートだったというのだ。
また、アンチトランプのコメントに対しては、「基本的にアンチトランプというのはメディア。そのメディアに自分の発言を報道させることでさらに多くの人に自分の発言を伝える」という工夫をしていたと渡瀬氏。
ヒラリー・クリントン氏落選の理由については「ズバリ上から目線」「トランプ氏は支持者の風景なども映るようにしていたが、ヒラリーは基本的にはドヤ顔。セレブが映ることもあり、有権者との距離が出てしまう」と説明した。
SNSをかなり戦略的に使っていたとみられるトランプ氏だが、SNSと政治家との関係について博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平氏は「世界的にはInstagramが主流になってきている。政治と連携しにくいSNSがかなり主流になっているため、SNSと政治を結びつけて語りたがる風潮は数年前の話」と指摘する。
これについて渡瀬氏は「確かに若い人に関してはツイッターを使わなくなってきていると思うが、逆に投票率が高い層には有効だと思う。まだかなり使い道がある」とコメントした。
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