今国会で、不登校の子どもの支援を目的とした法案が審議されている。

 「教育機会確保法案」「不登校対策法案」と呼ばれるこの法案は、フリースクールなど、既存の学校以外での就学機会を確保することを目的としている。

 法案制定へ向けた動きが本格化したのは、2014年に安倍総理がフリースクールを訪問し、不登校児童への支援を検討する考えを表明したのがきっかけだった。

 ”尾木ママ”こと法政大学の尾木直樹教授は、不登校児童を取り巻く2つの問題を指摘する。一つは不登校児童が引け目を感じていたり、社会的な非難の眼差しから辛い思いをしたりしているという点。「不登校は悪い事」という偏見は根強く、それが子どもたちを苦しめているのだ。

 もう一つは経済的負担の問題だ。尾木教授によると、フリースクールの月謝は大体3万円ほどで、1人ならまだしも、子どもが2人ともなると、フリースクールにも通わせるのも困難になってくるという。

 また、今回の法案に関しては賛否が分かれている。

 都内で不登校児のためのフリースクール「さくらんぼ学園」を経営する下村健士氏は、この法案に賛成の立場だ。

 下村氏は「この法案ができることで一番大事なのは、”休む”ということを認めてくれるということ。子供を休ませることに負い目を感じている親の助けにもなる」と話す。また、「不登校は悪い」という根強い偏見が払拭され、学ぶ場の多様性が認められることにもつながるという。

 「さくらんぼ学園」では子どもの自主性や創造力を尊重することに重きを置いており、それぞれの好奇心を尊重した教育を行うフリースクールとして多様な学びを提供している。

 一方で、中央大学の池田賢市教授は「この法案は子供たちを追い込んでしまう」と反対の立場を取る。池田教授は、法律で”不登校児童”と定義してしまうことで、むしろ教育の分離や差別などを助長し、不登校の子どもたちを追い詰めることになると指摘する。

 さらに、不登校を生み出してしまう学校のあり方ではなく、子どもの精神状態に原因を求めているところにも問題があるとし、学校そのものの問題を改善することが、第一ではないのかとした。

 法案は22日の衆院本会議で可決されており、今国会で成立する可能性が高いとみられている。果たして全国12万人を超える不登校の子どもたちにとっての解決策となるのだろうか?

(C)AbemaTV

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