カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備を推進する「統合型リゾート(IR)整備推進法案」、いわゆる「カジノ解禁法案」が6日、衆議院本会議で可決された。採決は民進党などが欠席、与党でも対応が割れる中、日本でも"カジノ解禁"が動き出している。

 この法案は、カジノを解禁し、ホテルや国際会議場などが一体となったIR=統合型リゾートの整備推進を目指すものだ。これに対し野党・民進党は、「審議が不十分」として反発。民進党の緒方林太郎議員は「審議時間、6時間にも満たない審議時間でこれだけ重要な法案を強行採決というのは、国会のあり方として断じて認めることができないと強く抗議をしたいと思います」と話す。

 そもそも、この「カジノ法案」は超党派の議員連盟が中心となって提案された議員立法であるため、各党内でも賛成・反対の意見が分かれているのが現状だ。自民党と連立を組む公明党は党内の慎重論に配慮して委員会採決を自主投票とし、委員3人中2人が反対するという異例の結果となった。公明党の濱村進議員は「この法案についてはバランスが非常に難しい法案」「メリットも大きく非常に期待はできるが、デメリットもある」と指摘した。

 カジノ解禁による経済効果がメリットとしてあげられる一方、法案に慎重な議員からはギャンブル依存症の対策が不十分だとう声も上がっている。実は日本は「ギャンブル依存症」の疑いがある人の割合が国際的にみて際立って高いと言われている。厚労省研究班の発表では、成人人口の実に4.8%にあたる536万人がギャンブル依存症だと試算されている。

 しかし、ギャンブル依存症の予防対策が進んでいるとは言い難いく、ギャンブル依存症問題コンサルタントの大崎大地氏は「この国で予防対策はゼロ」だと指摘する。ギャンブル依存症は世界保健機関(WHO)も正式に病気として認定し、精神疾患の一種だと捉えられている。しかし日本では、そうした認識は薄く、予防対策をも講じられていないのが現状だ。

 また、そもそもカジノ解禁自体が"時すでに遅し"だという意見もある。博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平氏は「いまさらカジノをつくって、インバウンドを呼び込めることはほぼないのではないか」と指摘する。マカオなど東アジア地域には、ここ10~15年で多くのカジノが誕生したが、その集客力もピークから徐々に落ちてきているという。また、中国では習近平政権下で"贅沢禁止"の風潮が強まり、中国人富裕層の集客も見込めなくなるのではないかとの見方もある。

 「ギャンブル依存症」の懸念を残したまま、進められようとしている「カジノ解禁」。自民党は、今国会で成立させる構えだ。

(C)AbemaTV

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