平日21時から放送されているAbemaTVの報道番組『AbemaPrime』のお天気お姉さん・穂川果音は、「ぺっこり恐縮です」という口癖を軸に、「はわわー」「きゅるるん」といった、独特のワードを元気いっぱいに発しながらお天気コーナーを展開中。予報を外した際にはコスプレを披露するというユニークなルールが設けられている同コーナー内で、これまでに河童・カップ麺・鯉のぼりなど、視聴者から大反響があった大胆な姿を披露した経験も。さらにスキー場で滑りながら・バンジージャンプをしながら・六本木のけやき坂をダッシュしながら、といった「チャレンジ天気予報」も行っており、およそ地上波では見ることができないような天気予報を楽しむことができる。
こう書き並べると一見”イロモノ気象予報士”のような印象を受けてしまうと思うが、そこはしっかり気象予報士および防災士の資格を持つ彼女。今年の春に起きた熊本地震直後には、きちんと真面目に情報を伝えることに努めた彼女の姿があった。同番組のキャスターである小松靖アナウンサー(テレビ朝日)はそんな彼女を指し「ぶりっ子キャラの一方で、ものすごくしっかりした一面を持っています」と語り、さらに「穂川さんには、すごく助けられています」と、その実力かつ魅力を高く評価。最近では”ほかのん”というニックネームも定着しつつあり、共演者との愉快な絡みは、『AbemaPrime』の見所の一つと言えるのではないだろうか。
そんな穂川は、お天気お姉さんとして活躍する現在に至るまで、さまざまな仕事・経験を積んできたんだとか。今回、AbemaTIMESは彼女の半生に迫るべく取材を敢行。難関の気象予報士試験に挑んだキッカケや、プライベートについて、遠回りしてもつかんだお天気お姉さんまでの道のり、そして『AbemaPrime』についてじっくりと語ってもらった。
皆藤愛子さんを観て「かわいい!」って(笑)。それで気象予報士を目指しました
--取材を受けていただきありがとうございます。
ほかのん:とんでもないです。ぺっこり恐縮です。
--さっそくですが、気象予報士を目指したキッカケを教えていただけませんか?
ほかのん:10代のとき、ファッション誌の専属モデルをやっていて、よくロケに出ていたんですけど、カメラマンさんが光量を測る姿や、「雲はあと何分で流れるよ」と仰る場面を度々見ていたんです。「なんなんだ、あの特殊能力は? 勉強すればわかるようになるのかな」って段々と興味が出てきて。そんな時に、当時「めざましテレビ」(フジテレビ系)に出演されていた皆藤愛子さんを見て、「すごいかわいい人が天気予報を伝えてる!」と思って、気象予報士を目指すようになりました。
--えっ。皆藤さんを見て気象予報士になろうと思ったんですか?
ほかのん:そうなんです。あんなかわいい人にはなれないけど、私にカメラマンさんのような特殊能力が加われば少しでも皆藤さんに近づけるんじゃないかと思って。調べたら気象予報士の試験があることを知って、そこから勉強をはじめました。
--何歳の頃ですか?
ほかのん:「なりたい!」って思ったのは20歳くらいですけど、勉強をはじめたのは21歳の時です。1年くらい勉強して、2回目の試験で通ったので、比較的スムーズに合格できました。
蕁麻疹が出るくらい辛かった勉強期間
--すごいですね。気象予報士の試験、狭き門ですよね?
ほかのん:ぺっこり恐縮します。私が受験した時の合格率は3%くらいでした。でも私、本当に運がいいんですよ。小学校受験も経験したんですけど、普通の試験があって、さらに体育の試験もあって、倍率は30倍っていう学校で。その上くじ引きが2回あって…。それでもそこを突破できたのは、やっぱりくじ運がいいからなんです(笑)。
--それだけじゃないと思いますよ(笑)。努力もされたんじゃないですか?
ほかのん:気象予報士を目指そうと決めてからはモデル業を辞めて、契約社員として普通の会社で働いていたんです。朝5時に起きて7~9時くらいまで勉強、そして9時に出社、18時に仕事が終わって、その後21時くらいまで近くのカフェでまた勉強という日々でした。試験の1ヶ月前は土日含めて、8~9時間くらい勉強していました。
--聞くと大変なように感じますが、「辛い…」って気持ちはなかったですか?
ほかのん:うーん…。実はすごい辛くて(笑)。
--ですよね(笑)。働きながらですもんね。
ほかのん:それもそうだけど基本的に勉強が好きじゃないので(笑)、全身に蕁麻疹が出ちゃったりしたこともあって。学生時代、数学は好きだったんですけど、物理がすごく苦手で。気象予報士の試験って何パターンもあるんです。まず学科試験を2つ受けて、その後に文章を書く実技試験が2回あるんですけど、その中でどうしても物理の公式を覚えなくちゃいけなくて。当時は「雨が落ちる速度なんてみんな知りたくないよ。なんでこんなのが必要なんだろう…」とか思いながら、勉強してました。そこは辛い時期だったかもしれないです。
--けれど辛い気持ちより、「気象予報士になりたい」って気持ちが勝っていた?
ほかのん:そうですね。
なぜかレースクイーンのオーディションを受けに行ったんです(笑)
--穂川さんのこれまでの歩みを教えてくれませんか。
ほかのん:高校1年生、15歳のときに雑誌「プチセブン」(現在は休刊)の専属モデルになり、16歳で「Can Cam」(小学館)に移籍するなど、20歳くらいまでは雑誌をメインに活動してました。その後24歳までOLさんをやって、穂川果音として活動をはじめたのは25歳からです。気象予報士の資格をとった後、なぜかレースクイーンをやり始め、グラビアのお仕事も頂き、DVDも発売しちゃいました。お天気お姉さんをはじめられたのは今から3年前くらいなんです。
--蕁麻疹がでるほど大変な思いをしてまで気象予報士の資格を取った後に、レースクイーンデビューというのは。
ほかのん:私、世間知らずなところがあったみたいで、資格を取ったはいいものの、どうやったら気象予報士の仕事ができるのか見当もつかなかったんです。そんな時、友人が入っていた事務所の人にたまたま声をかけられてオーディションを受けにいったんですが、それがレースクイーンのオーディションだったっていう。
--(笑)。
ほかのん:「なんだろう、これ?」って自分でも思っていたんですけど、なかなか天気を伝えるお仕事が見つからなかったんですよ。Yahoo!に「お天気お姉さんになる方法」って打ち込んだりしてました(笑)。そしたらご丁寧にもたくさん出てきて、「へー」って思いながらも他の仕事をしていました。甘かったんですね(笑)。
--では現在は念願叶ってのお天気お姉さんですね。
ほかのん:そうですね、恐縮します。なかなか思い通りの仕事に就けなかったあの時の経験があるし、資格を取ってからブランクもあったので、今はできる限りベストを尽くそうと努力しています。
「恐縮」は17歳の時から。番組の姿は、ほぼ地の私
--先ほどからナチュラルに「恐縮」という言葉が出てきていますが、今のスタイルになるキッカケってあったんですか?
ほかのん:17歳の時に着物のモデルをやっていたんです。そこの現場は年配の方が多かったので、丁寧語を使うことを意識していたら「恐縮です」ってフレーズが自然と口から出てきて、それからずっと使っているんです。「ぺっこり」は『AbemaPrime』がはじまってからですけど。それに私、もともと歩くときに「ててて」とか「すてすて」とか擬音を口にしちゃう癖があるんです。なんだか楽しくて(笑)。今の番組の姿は、ほぼ地の私なんです。
--最近番組内で親父ギャグも乱発してますね。
ほかのん:親父ギャグ大好きなんです。親父ギャグって人の心を和ませてくれるものですよ。
--ある種、報道番組の気象予報士としては独特なスタイルです(笑)。
ほかのん:最初は抑えたほうがいいのかなと思ったんですけど、番組スタッフのみなさんや視聴者の方が心広く受け止めてくれたので、「じゃあ、私はのびのびとやらしてもらおう」と頭を切り替えました(笑)。
「戦友としてがんばろう」は光栄な言葉。小松さんは頼れる存在
--船出したばかりのAbemaTVに対してどんな印象をお持ちですか?
ほかのん:『AbemaPrime』が始まってすぐの時期に、熊本地震が起きて、そのときAbemaTVがすごく頼もしく思えたんです。視聴者側の意見としてですけど、スマホでこれだけの情報を簡単に受信できるメディアがあるのは画期的ですよね。単純に便利な世の中になったなって思いました。それと、アンダーグラウンドな内容の番組があることにもとても意義を感じます。
--AbemaTVでお気に入りのチャンネルってありますか?
ほかのん:ペットチャンネルが好きです。わんちゃんかわいいです。1番好きなのはうさぎですけど。
--穂川さん同様、毎日番組に出演している小松靖アナウンサー(テレビ朝日)にはどのような印象をお持ちですか?
ほかのん:小松さんは曜日によって自分の立ち位置を変えてらっしゃるんですよ。日々、器用に意識を切り替えていて、すごい能力だなと思います。居てくれるだけで安心する、頼りになる存在です。私はそれについつい甘えすぎちゃう場面があるんですけど、いつでもしっかりと受け止めてくれて、上手にケアもしてくださってありがたいです。
--小松さんの優しい人柄は画面を通しても伝わってきます。
ほかのん:ですよね。毎日番組終わりに、軽く反省の言葉を共演者と交換したりするんですけど、小松さんは「戦友としてがんばろう」って仰ってくださいます。とっても、光栄な言葉です。
私、度胸だけはすごくあると思います
--思い出に残ってる放送回ってなんですか?
ほかのん:バンジージャンプした回ですね。バンジージャンプしたくて、私からスタッフさんにリクエストしちゃいました(笑)。けれど、スタンバイの時間などもろもろ後ろにずれてしまってリアルに準備が整ってない中で本番の時間を迎えてしまい、それはちょっと恐怖でした。天気予報を伝えながら準備が行われていたので、私自身準備できたことをまったく目で確認していない状況で飛ぶことになったんです。
--それは怖いですね。でもその割に躊躇せず、飛んでましたね。
ほかのん:いきました(笑)。そのまま落ちても水の中だから命は多分大丈夫かなって。
--あはは(笑)。すごい度胸ですね。
ほかのん:私、度胸だけはすごくあると思います。
--その度胸は芸能活動でも活かされますか?
ほかのん:この業界、何が起きるかわからないじゃないですか。例えばオーディションなんかで無茶振りされることもあるんですけど、その瞬間恥ずかしさを捨てることができて、良いか悪いかは別として”何か”をやることができます。そういうときに、自分に度胸があってよかったなって思えます。
--この番組の中でも、強い口調で論じる姿が魅力の小籔千豊さんとも堂々と対峙していますもんね。
ほかのん:実は最初、小籔さんは「怖いな、冷たいな」って印象だったんです(笑)。でもいつからか開き直って自分を思い切り出すようにして、それを続けていたら、最近は優しく接してくれるようになりました。素直に「うれしい」って思ってます。めげない心は大事だなって改めて感じました。
ハイボール飲みながら一人焼肉。これはこれで楽しい(笑)
--趣味はありますか?
ほかのん:うさぎの散歩と、一人旅ですね。この番組が始まってからありがたいことにお休みがなかなか取れないので、平日に「えい! 日帰りでどこかいこう!」と思って、朝5時に起きて名古屋でひつまぶし食べて帰ってくるっていう不思議な旅をしました(笑)。
--すごいプランですね(笑)。
ほかのん:それと、競馬がすごく好きなので、夏には札幌競馬場に1泊2日でいったりします。小さい頃、親子で乗馬をしていたせいか、昔から馬が好きなんです。
--お嬢様ですか?
ほかのん:(笑)。普通の家です。普通なんですけど、馬がかわいくて好きだったから趣味でやっていたんですよ。競馬も少額ですが賭けたりもします。先日もこの番組でジャパンカップのロケにいったんですが、自腹でかけて勝ったんですよ。
--さすがですね。普段お酒とかは嗜みます?
ほかのん:ハイボールが大好きです(笑)。お酒も飲むんですけどコーヒー屋さん巡りも大好きです。渋いマスターがいるような純喫茶とかいったりして、そこで豆から選んで、淹れてもらったり。
--そういうお店に1人でも入れますか?
ほかのん:こないだついに1人で焼肉屋さんにいったんですよ。黙々とお肉を焼いて、「これはこれで楽しいな」って(笑)。そういうときは店員さんに話しかけたりして、仲良くなります。ハイボールも飲んで、なんだか幸せでした。
B'zさんと共演したい。あえて聞いちゃいけないことを聞いてみたい
--数々のコスプレを披露してきましたが、あえて1つお気に入りを挙げるとしたら。
ほかのん:番組がはじまった当初は、コスプレ内容を聞いて引いちゃうこともあったんですよ(笑)。「今日は河童になってください」って聞いたとき「えっ?」って。あとはカップラーメンとかも…。でも全て、衣装さんが手作りしてくださっていて、オリジナリティがすごいし、完成度も高いんです。…なので順位は付け難いです。
--この先、番組でやりたいことってありますか?
ほかのん:B'zさんに出ていただきたいです。「ミュージックステーション」終わりに来てくれないかな(笑)。「RISKY」(4thアルバム)以降全ての作品を持ってるくらい大好きなんです。B'zさんがゲストに来てくださったら、あえて聞いちゃいけないことを聞いてみたいです(笑)。
現場に同席していたスタッフ:がんばります。
ほかのん:やった(笑)! それと、うさぎのコスプレして、飼っているうさぎを抱えながら”うさ天”をやりたいですね。
--穂川さんが気象予報士を目指すキッカケとなった皆藤愛子さんと天気予報共演とかどうです?
ほかのん:恐縮しちゃいます(笑)。かわいすぎてきっと私、天気予報できなくなっちゃうと思います。
私は番組の空気を変える役割。視聴者が和んでくれたらうれしい
--天気コーナーを担当する上でのよろこびってなんですか?
ほかのん:リアルタイムでコメントが観られて、Twitterにも反響をいただけて、視聴者の皆さんが盛り上がってくれたりすると素直にうれしいです。私は番組の空気を変える役割だって意識しているので、特にむずかしい問題のニュースが続いたときとか、天気予報コーナーで和んでいただけたらと思います。
--視聴者の方にメッセージをお願いします。
ほかのん:毎日コメントしてくださる人もいて「ありがとう」って伝えたいです。でもあえて言うならもっとコスプレのリクエストしてください(笑)! 募集中です。
--どんなリクエストにも応えちゃいます?
ほかのん:できる限り(笑)。
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放送日時:毎週月~金曜 よる9時~よる11時(生放送)
放送チャンネル:AbemaNews
番組公式サイト:http://news-prime.abema.tv/
インタビュー・文:中山洋平
協力:安江美華