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(必殺技パールハーバー・スプラッシュを投下する葛西純。デスマッチファイターとしてカリスマ的な人気を誇る。)

 世の中、さまざまなジャンルにカリスマと呼ばれる人間がいるが、“デスマッチのカリスマ”といえば葛西純である。もう一つの通称はクレイジーモンキー=狂猿。過酷なプロレスの中でもとりわけ危険なデスマッチというカテゴリーで、常にトップを走ってきた。

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(葛西はDDT、WRESTLE-1など他団体でもベルトを巻いている。硬軟自在のファイトスタイルも魅力だ。)

 古くは金網デスマッチ、さらに大仁田厚の電流爆破デスマッチなどが知られているが、現在のデスマッチは使われる凶器も試合ぶりもエスカレート。画鋲や蛍光灯、椅子に机にハシゴ、コンクリートのブロックなど“痛み”が観客に伝わりやすいものが多用されている。流血戦は当たり前の世界だ。

 といって、ただ残酷なだけでもないのが現代デスマッチ。血をダラダラと流しながら(攻めるにしても受けるにしても)危険な行為をためらわない選手たちに、観客は「そこまでやるか!」という驚きとともに大きな喝采を贈るのだ。

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(12.26後楽園でタイトル防衛戦を行なう竹田誠志。ラダー(ハシゴ)もデスマッチの基本アイテムになっている。)

 そして、誰よりも率先して危険な闘いをしてきたのが葛西だと言える。時には後楽園ホールのバルコニーから落差6mのダイブを敢行。その一方でマイクアピールも抜群、突き抜けたユーモアもある。2009年には“本流”の試合を差し置いて伊東竜二とのデスマッチでプロレス大賞の年間最高試合賞を受賞してもいる。

 そんな葛西が、所属するFREEDOMSで毎年恒例のプロデュース興行を開催。今年は12月26日、後楽園ホールで行なわれる。

 『BLOOD CHRISTMAS 2016』と題されたこの大会で、葛西はローカル団体・ダブプロレスのグンソと対戦。またメインではFREEDOMSのベルトを巻くメキシコのデスマッチ王ビオレント・ジャックがベルト奪還を目指す正岡大介を迎撃。竹田誠志とミエド・エクストレモのDTUウルトラバイオレントチャンピオンシップも注目だ。

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(12.26後楽園でタイトル防衛戦を行なう竹田誠志。ラダー(ハシゴ)もデスマッチの基本アイテムになっている。)

 この竹田、正岡のように、葛西を追いかけるようにして成長してきた若い選手がトップで活躍するようになったのも、近年のデスマッチにおける大きな魅力。彼らは直接、闘うだけでなく“どこまで過激に闘えるか”“どこまで狂えるか”を競い合ってもいる。

 ちなみに今回のデスマッチの形式は、ビオレント・ジャックvs正岡が『スキャフォード&ガラスボード+αデスマッチ』、葛西vsグンソが『月光闇討ち&ゴルゴダの丘十字架デスマッチ』、竹田vsミエドは『蛍光灯4-side&剣山 CRAZYZONEデスマッチ』である。このネーミングだけでワクワクするというかゾクゾクするというか……。

 葛西プロデュース興行は、文字通りの“狂宴”。狂ってるから面白い。好みが分かれるかもしれないが、これも現代プロレスの、一つの究極形なのだ。

 文・橋本宗洋

 写真は全て「撮影・丸山剛史」

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