■“給油訓練再開”に古谷経衡氏「オスプレイの訓練は日本の専守防衛とは関係ない」
不時着事故を受けて休止されていたオスプレイの空中給油訓練の再開が5日、沖縄県の翁長知事に通告された。
翁長知事は「県民に寄り添うと言いながら、米軍の要求を最優先する政府の姿勢は信頼関係を大きく損ねるものであり、強い憤りを感じております」と話し、事故原因が完全に究明されていない中での訓練再開の通告に憤りを隠さない。
普天間基地の移設先として、辺野古の海ではすでに工事が進められており、移設が完了すればオスプレイが上空を飛び交うことになる。周辺地域の沿道には移設反対を訴えるテントがずらりと敷かれている。空中給油訓練の再開について座り込みを続ける女性は「信じられません。米軍の言っていることを鵜呑みじゃないですか。飛ばすのは沖縄の上空ですよ!」と話す。
日本はなぜ給油訓練再開を認めたのか。菅官房長官は会見で「米側の再発防止策を防衛省・自衛隊の専門的知見に照らして分析した結果、有効な対策を幅広くとっていると認められた、ということです」と話し、アメリカ軍の事故再発防止策を評価した結果だと説明した。
また、防衛省も「米軍側から、空中給油は日本の防衛とアジア・太平洋地域の平和と安定にとって欠くことのできない活動であると説明を受けている。防衛省としては空中給油の重要性を理解する」とコメントしている。
沖縄国際大学大学院の前泊博盛教授は「調べることもできないまま、アメリカ側の主張を追認して、訓練を開始させる。これは主権国家としてあるべき姿なのか」と話す。日本政府はこの事故を重大視し、海上保安庁は米側に対して捜査の申し入れをしたものの、アメリカ軍からは返答がなかったという。「自国の領土・領空・領海内において主権が行使できる範囲内で起こった事故に対して事故調査すらできていないのが現状だ」。前泊教授は、そう訴えた。
また、評論家の古谷経衡氏は空中給油そのものについて疑問を呈する。「要するに作戦範囲が拡大されることにほかならない。また、低空飛行してジャングル内の敵を掃討する演習をおこなっている。日本にはジャングルの敵はいない。要するにオスプレイの訓練は一事が万事日本の専守防衛と関係がない」と指摘する。
■藤井誠二氏「まずは地元発のものを読んでみるところから初めてみては」
沖縄で取材を続けるノンフィクション作家の藤井誠二氏は、沖縄と本土の間に伝えられる情報には大きな溝があるという。
「地方の問題は地元メディアの方が扱いが大きいのは当然だが、沖縄の問題は日米間のとても大きな問題。中央のメディアはもっともっと伝えるべきだ。沖縄発のニュースを全国のメディアは拾ってほしい」(藤井氏)。
20年前に沖縄に移住してから、沖縄の問題についても執筆してきた作家の仲村清司氏は、「(本土に)伝えているけれども伝わらない。メディアを通して真実が伝わらない。ネットの方が情報量が多い」と、もどかしさを訴える。
藤井氏は一方でネット上にはデマもみられるとして、「そもそも沖縄は圧倒的な暴力の非対称性の中にある、運動の非暴力・暴力について議論することにも疑問がある」と苦言を呈した。
さらに"沖縄のメディアは偏っている"というような意見に対しても「誤解がある。地元の記者はよく取材している。移設賛成派の意見も載せている。電子版でも読めますから、まずは地元メディアがどういう報じ方をしているのか、まずは読んでみるところから初めてみては」とコメントした。
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