千葉大学医学部の学生による集団暴行事件、東京大学の学生による強制わいせつ事件など、有名大学の男子学生による集団暴行やレイプ事件が相次いでいる。
また慶応大学では、『ミス慶応』を主催するサークルの学生らが集団暴行をした疑いで捜査の手が入り、大学側は「気品を損ねる行為」として学生3人を無期停学処分としたほか、サークルに解散命令を下した。この事件では、男子学生らが『合意の上の性行為だった』と主張するため、乱暴している様子を撮影した動画を捜査当局に提出したという。また、ミスコンが中止になったことから、関係者等が被害女性を誹謗中傷したとも報じられている。
レイプ被害者は、産婦人科での診察や警察の事情徴収、裁判での尋問などによる精神的苦痛、また、各種報道による二次被害を受け、事件後も傷つけられ苦しみ続けなければならない。
「セカンドレイプ」と呼ばれる、こうした問題。
拉致・強制わいせつ被害の経験を持ち、現在は自身の体験などもとに講演や映画制作を行っている水井真希さんは、友人から「嘘でしょ」「それネタでしょ」「(話の内容を)盛ってるでしょ」などと言われたり、心療内科で「妄想ですね」と言われたりしたこともあるという。性犯罪の被害にあったこと自体を信じてもらえないのは、大きな精神的苦痛だ。
水井さんは「加害者に対する人権は考えられていることが多いのに、被害者に対する人権はあまり考えられていない。特にメディアには被害者のプライバシーを守ろうという姿勢がない」と報道の問題点も批判する。
現行法では強姦罪は"親告罪"とされ、被害者からの訴えがなければ捜査や起訴がされないが、集団強姦の場合は犯行の悪質さや被害の重大さから、訴えがなくても捜査機関が立件も可能だ。だが、セカンドレイプを恐れて届出ができず、泣き寝入りする被害者も多いとされているため、強姦罪などの再犯罪の非親告罪化が検討されている。
実際に、性的事件における被害申告率は「届出あり」が18.5パーセント、「届出なし」が74.1パーセント、「無回答」等が7.4パーセント(『2013年犯罪被害者白書』より)となっており、状況の深刻さが伺える。
水井さんは「性犯罪に対する法律は100年以上も前に作られたもので、その時は女性の参政権すらなかった。警察、検察、裁判所と合計3回も傷をえぐられるような話をしなければならない。例えば韓国の場合は、一度目の取り調べの際にビデオを撮り、それで話が通る」と制度の遅れも指摘した。
一方、婦女暴行など、被告側の弁護を務めた経験がある荻原邦夫弁護士は「裁判とは結局、法廷に立ち、言葉で説明するもので、被告が争う姿勢を見せれば、どうしても法廷に立って説明する必要性が出てくる」と話した。
捜査や裁判で重要となるのが証拠だ。被害に遭った時の着衣や被害現場には証拠が残っている場合がある。体液等も証拠となりえるため、病院での診察も欠かせない。
水井さんは「いま性犯罪で困っている人は『ワンストップセンター』で検索してみてほしい。NPOなどが必要に応じて、警察や病院や弁護士とつなげてくれ、性暴力被害のサポートをしてくれる」と、全国の性犯罪被害者に呼びかけた。(AbemaTV/AbemaPrimeより)
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