内閣府がモデルやアイドルなどの勧誘を受けた経験のある15~39歳の女性2575人を対象に調査にインターネットで調査を行った結果、アダルトビデオへの出演などを強要される被害が相次いでいることがわかった。
調査によると、スカウト後、実際に契約に至ったという197人の内、およそ27%にあたる53人が契約時に同意しなかった露出度の高い水着や下着での撮影、アダルトビデオへの出演などを強要されたという。さらに、契約を交わしていないのに性的な行為を要求された人も60人に上ったという。内閣府では、「恥ずかしいからと相談しない人が多く、被害が顕在化しにくい」と分析している。
本来、定められた基準に則り、契約内容を漏らさず伝えた上で契約を交わすのが一般的な芸能事務所によるプロセスだ。
AV女優の紗倉まなさんも、今回の調査結果に複雑な思いを抱いている一人。身近な人からは強要の話を聞いたことがないと話し、「私は自ら志望して、契約したときにも"大丈夫か、契約内容を把握できているか、ちゃんと理解して仕事をしないと人生に影響するから"と念入りに聞かれた上で判を押したので…」と、自身が事務所と契約した時のことを振り返った。
取材班が街頭インタビューを敢行、怪しいスカウトを受けた経験があるという女性に話を聞くと、「(女性の方に声を掛けられて)ちょっと話を聞くだけならいいかなと思って少しお話をしていたのですが、"すぐそこに事務所があるので事務所に来てもらってもいいですか"と言われて、更に怪しいなと思いました。行く前に事務所の場所を教えて下さいとしつこく言ったら、"大丈夫です"と言っていなくなりました。向こうが引いたので良かったですが…。逃げられるかな…。あまり隙が無いような感じでした」と明かしてくれた。
AV出演強要について100件ほどの相談を受けてきたという、T.I.U.総合探偵社の阿部泰尚代表は、「すでに契約書を交わしてしまい、流れに逆らえない空気が出来上がってしまっている状況で、女の子一人で逃げ出すというのは無理だろうなというケースが多い」と話す。街頭インタビューのように、女性によるスカウトも多く、つい気を許してしまうことも多いのだという。
阿部氏によると、そうした事務所が提示する契約書は内容が適当で、控えも渡さないことも多いという。保護者の承諾を得ていない未成年であれば、後で契約を破棄することも可能だ。
長年にわたって被害女性たちからの相談を受けてきたソーシャルワーカーの宮本節子氏によると、中には経済的な理由で、出演に応じてしまう20代の若者も少なくないという。また、「(すでに撮影された)DVDや、インターネットに流された動画を削除して欲しいという相談が多い」と話す。宮本氏は「弁護士と交渉すれば、だいたいのAVメーカーは応じる」とし、「一人で悩んでいても袋小路に入るだけ。私たちや弁護士に相談することで何らかの解決ができる」と訴えている。
政府は2017年度予算案にも調査費を計上、実態を把握した上で、相談窓口や法律の整備などの対応を検討する方針だという。(AbemaTV/AbemaPrimeより)