2月5日の新日本プロレス札幌大会で、IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカに、鈴木軍の鈴木みのるが挑戦することが決定した。

46分45秒のオメガ戦の激闘を制した東京ドーム大会の翌日、1・5後楽園大会で、鈴木らの奇襲を受け新たな遺恨ストーリーの真っ只中ではではあるが、年明けのシリーズで、いきなり総帥・鈴木みのるとのタイトルをかけた直接対決にはやや時期尚早な感もある。

とはいえ、この対戦カード、オカダにとっては、4年ぶりのIWGP戦から数年ぶりの再戦といった大義名分以上に、10年越しで訪れた「超えなければならない壁」という命題が隠されている。

1月6日の会見でオカダは、鈴木軍の襲撃について「やるんであればやりますし、鈴木さんもこのベルトに手をかけてましたし欲しいんだと思いますけど。今のオレはなかなか強いですよ。あなたはあんな強いケニー・オメガを倒せますか?とは言いたいですね。今まで2年間新日本にいなくて他の団体でやっていたかもしれないですけど、その2年間で新日本がどこまで来たか教えてやりたいですね」と、もはや鈴木は相手ではないとも取れる上から目線で語ったが、裏を返せば2年ぶりに帰ってきた鈴木との試合で自分が背負ってきたものの成果を見せつけたいというメッセージも感じ取れる。

「海外の同業レスラーからも高い評価を受けた」と自負するドーム大会という大きなノルマを達成し、誰もが認める「新日本の顔」となったオカダにとって、強い責任の中で達成感を感じた大イベントの後、初の大きな大会しかも鈴木みのるという相手は、一見軽そうだが実に面倒くさい難題といえる。

思えば約4年前の2013年5月3日、オカダのIWGP初防衛戦の相手が鈴木みのるだった。25歳のオカダが鈴木みのるを退けた試合は、成長へ大きな上昇の曲線にまかせるように勝ち取った勝利だったが、その一方で「世界一性格の悪い男」鈴木のプロレスの巧さが際立つシングル戦でもあった。

グラウンドで気道を塞ぐ、顔をひっぱる、ブラインドで指を決める、ロープ際でぶらさがり式の腕十字、泥沼の関節地獄、スリーパーであわや失神に追い込まれるなど、新たなスターを、じわりじわりと憎らしい位に追い詰めた鈴木みのる。最後にオカダが鈴木のお株を奪うゴッチ式パイルドライバーからのレインメーカーで沈めた流れを見ても、どちらが一枚上だったかは明白だ。

もっと過去を蒸し返せば、2007年闘龍門に所属していた19歳のオカダが、メキシコの地でタッグマッチとはいえ鈴木に執拗に殴られ惨敗したところからこの遺恨は始まっている。その後の2013年2月の広島での張り手の嵐からパイルドライバーでの沈められた試合、2014年横浜で決勝進出を決めた「G1 CLIMAX24」での勝利も振り返れば厳しい試合だった。

オカダ対鈴木というピンポイントでフォーカスすると、オカダ色を前面に打ち出しつつ試合にも勝つ、つまりただ勝つだけでも駄目という意味でハードルは極めて高い。

前述の翌々日会見でも鈴木軍というユニットについて「余り知らないし、他団体で何してるのか。そこが凄い団体なら見ますけど、僕達のところまで響いてないし知らないというのが現状です。(見た目の)ジャージが変わったな位の印象しかない」と切り捨てつつも「いつまでたっても鈴木みのるというレスラーが嫌いなんだなと。いろいろな対戦相手で、嫌いな人でも認める部分はありましたけど、鈴木みのるに関してはそんなことはない。認める部分もない」という言葉にはトゲがある一方で、最大級のラブコールにも感じられる。

あれから4年、はじめて自分が本当の意味でメインを張れたという手応えのなかで、いいスタートを切ったオカダにとって、再び亡霊のように湧いてきた鈴木みのるとはどんなレスラーに映っているのだろうか? そして、今度はどんな試合をするのか非常に楽しみである。

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