2015年公開の映画『Orange』での好演が光り、その後も話題ドラマに立て続けに出演。現在放送中の『嫌われる勇気』ではエリート刑事、『クズの本懐』では吉本実憂とダブル主演を務め、片思いに戸惑う繊細な17歳の男子高生を演じている俳優の桜田通。連ドラ初主演作品『クズの本懐』への思い、そしてプライベートについて語ってくれた。
麦と花火の関係は「正直、理解できない(笑)」
ーーもともと『クズの本懐』の原作のファンだったという桜田さん。実写化で主演を務めることにプレッシャーは感じましたか?
桜田:とにかくドキドキしている感覚はずっとあります。自分も芝居を1から考えて役に向き合ってはいるんですけど、それが必ずしも全ての人に賛同するわけではないので、どういう風に思われるのかはやっぱり気になりますね。これがプレッシャーというものなのかな、と思っています。
ーー繊細な麦を演じるにあたって、気をつけていることはありますか?
桜田:「笑顔」ですね。麦は心の中ではたくさんのことを考えているけど、表面上ではなにを考えているか分からない男の子。感情の起伏が激しいわけでもないので、笑うときは口角があがるのか、歯が見えるのか、目がなくなっちゃうのか…と、どのくらいの笑顔なのかを考えて丁寧に演じるようにしています。
ーーそれは監督と話し合って?
桜田:いや、話していないです。監督も僕と同じ思いを持って、撮影に臨んでいるから納得してくれているんじゃないかな。
ーー言葉を交わさなくとも通じ合っているのですね。桜田さんのブログを見ていても、『クズの本懐』チームのチームワークの良さがわかります。
桜田:チームワークを良くしようとして、良くしているわけではないんですよ。だけど、全員が作品と真面目に向き合っているから話す手間が省けているというか…。本当に説明しなくても分かってくださるんです。
ーーみんなで同じ方向を向いて、という感じなんですね。
桜田:だと思います。原作がもともと持っているパワーが強いから、納得させてくれる。そのおかげで、みんなが迷わなくて済むんだと思います。
ーー麦と花火は、"お互い他に好きな人がいながらも一緒にいる"という複雑な関係ですが、桜田さんはそういった恋愛の形についてどう思いますか?
桜田:実は、僕には2人がやっていることが全く理解できなくて(笑)。好きな相手と付き合えないから寂しさを紛らわすために友達と遊ぶ、とかなら分かるんですけど、キスとか抱きしめたりするのは違うかなって。そこは自分では分からない感情だからこそ、作品として面白みを感じている部分でもあります。
ーーご自身が麦の立場だったら麦のようにはならないと?
桜田:絶対にならないですね(笑)。相談相手にはなるかもしれないですけど、キスまでするか…?っていうところは正直あります(笑)。
ーー麦は"魔性の女"とも言える茜さんに夢中ですが、桜田さん自身はどのような女性がタイプですか?
桜田:好きなタイプってことは、要するに僕が付き合いたい人ってことですよね?う~ん…本当に、真面目な人ですね。
ーーそれは恋愛にたいして真面目な女性?
桜田:恋愛だけに限らず、です。なんでも良いんですけど、自分のやりたいことに向かってまっすぐで、自分をしっかりと持っている人が良いと思います!
ブログは日常をありのまま書いているだけ
ーーブログには、プライベートで役者仲間の皆さんと遊んだことも赤裸々に書かれていますよね。
桜田:言ったらブログに書いてあるものは半分くらい、書きすぎてもあれなんで(笑)。だから、実際はもっと友達と会っています。賢人とか、神木くんとか、事務所の仲間とか…名前が出てくる役者さんは本当に仲良しですね。
ーー連絡は常にとっているんですか?
桜田:毎日のようにテレビ電話がきますよ(笑)。海外で撮影中の真剣佑なんて、毎日よる7時に必ず電話してきましたから。向こうで相当寂しかったみたいですね(笑)。
ーー本当に仲良しですね(笑)。いつもどんなことを話しているんですか?
桜田:なにしゃべってんだろうってくらい日常会話(笑)。昨日も、明け方の4:30くらいに「すごい怖い金縛りの夢をみた、怖すぎるんだけど!」って賢人から電話がきて。知らないよ、自分でどうにかしてくれよ…って(笑)。でも、電話がこないよりはきたほうが楽しいし、僕もなんだかんだ嬉しいんですけどね。
ーー桜田さんのブログは、日常が垣間見えてファンはすごく嬉しいと思います。
桜田:逆に、友達と遊んだこととかを書かないとブログが嘘になっちゃう。本当に僕の日常をありのまま書いているだけです。1日が10だとしたら、7くらいは書いているんじゃないかな…?今日のブログも仕事行って、取材受けて、撮影して、お風呂入って、明日も頑張ろう的な、いつも通りそんな感じになると思います(笑)。
ーー桜田さんにとって、ブログを書く意味とは?
桜田:自分のブログを読み返すことってあんまりなくって。自分の記録というよりは、コメントとかレスポンスがあるから書いていて、見てくれる人がいることがモチベーションになっています。コメントももちろん読んでいますよ。うん…楽しいです、ブログ(笑)。
いつか神木隆之介と同じ作品に…
ーーこれから挑戦したい役柄を教えてください。
桜田:『クズの本懐』の現場で、芝居って難しいなって改めて感じていて。どんな役をやりたいというよりは、どんな役でも良いんですけど、もっといろんな人と共演したいですね。
そんな贅沢な環境難しいかなとも思うんですけど、自分が到底及ばないような有名な役者さんと2人で会話をさせていただく役とか、自分のなにかを引き出してくれる監督やスタッフさんに出会うのでもいい。とにかくいろんな人とお仕事をしないと成長しない部分があると思っていて、いま僕に足りない成長はそういうところなんじゃないかなって気がしています。
ーー一緒にお仕事をしてみたい方はいらっしゃいますか?
桜田:それはもう沢山います!すごい先輩の方ももちろんですけど…神木隆之介くんと共演してみたいですね。一緒にいると分からなくなりますけど、彼はやっぱり若い世代の中でもずば抜けていると思うので。 同年代なのにすごい人と共演するのって正直怖いし、どうせ凹むって分かってるんです(笑)。だけど、共演したら神木くんの良い相乗効果になれるように自分が頑張らなきゃいけないから、普段の努力よりももう一歩超えた努力に出会えるんじゃないかなと。だからこそ、神木くんと芝居をしてみたいですね。
ーー仲間でありライバルである、素敵な関係ですね。10年後はどんな役者さんになっていたいですか?
桜田:1つの作品ごとに悔いを残さない役者さんでいたいです。オンエアを見て反省することはあっても、現場で「もっとこうしたらよかったな」とは思いたくない。演じている瞬間は、自分がやるべきことは発揮できたと自信をもって言えるような役者でありたいですね。
ーー最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
桜田:『クズの本懐』では主演ということで、自分が現場で責任を持って作品を作っています。共演者も素敵な方ばかりなので、いろんな方に注目していただいて、好きなキャラクターだったり、役を見つけて作品を好きになってくださったら嬉しいです。ぜひ、見てください!
役者仲間とのたわいない日常を話すときはチャーミングな笑みを浮かべ少年のように、しかし、芝居のことになるとまっすぐな眼差しで未来を見据える桜田。「空気を壊してでも自分の意見を言っていくので好かれるタイプではない」と自己分析しているようだったが、周囲の人間や自分の置かれた環境に感謝を忘れない彼の誠実さが多くの人を惹きつけているのは間違いないだろう。