(1月1日に行なわれた、年末大会の一夜明け会見。無差別級GPを制したミルコ・クロコップも那須川の才能を讃えた。)
2015年の年末にスタートしたRIZINが、いよいよ“本格化”してきた。
2016年の年末2連戦(12月29日・31日、さいたまスーパーアリーナ)は上々の観客動員。何より試合内容にインパクトがあった。
ミルコ・クロコップの劇的な無差別級GP制覇。29日の第1試合で大会に火をつけた北岡悟の壮絶な逆転一本勝ち。川尻達也をタップさせたクロン・グレイシーには、もはや“ヒクソンの息子”という説明すらいらないかもしれない。それくらい、クロン自身の強さと魅力が際立っている。
そして特筆すべきは、那須川天心のMMAデビューだ。キックボクシング無敗。ヒジありルール初戦で現役ムエタイ王者をKOしてしまった“神童”は、なんと29日と31日の2大会ともに参戦し、勝利を挙げてしまった。スポーツとしてはかなりの無茶だが「誰もやったことがないことをやりたい」という若者らしい野望は素晴らしいとしか言いようがない。
那須川に加え、DEEPのフライ級王者である和田竜光、そのライバルである元谷友貴、それに才賀紀左衛門と、年末決戦ではフライ級(56.7kg)の日本人が輝く場面も目立った。
RIZINは階級制ではないものの、榊原信行実行委員長は「2017年はフライ級をしっかり盛り上げていきたい。この階級は世界に勝てる日本人がいる階級」とコメント。高田延彦統括本部長も「トーナメントをやってもいいんじゃないか」と話しており、2017年のRIZINではフライ級が大きなポイントになりそうだ。
(RIZINにおける女子選手の存在感は増すばかり。確実に人気、話題性の一端を担っている。)
もう一つ、見逃せないのが女子戦線。年末大会では5試合が組まれ、そのどれもが注目を集めた。露出度高すぎの衣装で公開計量に臨んだことも話題になった中井りん、連勝を重ねるギャビ・ガルシアと、彼女との対戦をアピールする神取忍、ジャジー・ガーベルト(アルファ・フィーメル)の女子プロレス勢。大晦日にKO勝ちを収め、女子エースと言ってもいい存在になったRENAにはアンディ・ウィン(山本美憂に一本勝ち)というライバル候補も現れた。
この活況ぶりに、榊原実行委員長は「世界初の女子GPトーナメント」を男子のトーナメントと並行して行なうことも考えているという。それだけ、女子は注目度が高く、内容も充実しているということだ。トーナメントを開催するには階級(体重)を調整する必要もあるから、RENAが望んでいる「RIZIN女子単独大会」の開催も現実味があるかもしれない。
いずれにせよ、2017年のRIZINはフライ級に女子と過去の格闘技ブームとは違う、まったく新しい風景が展開されることになりそうだ。そのスタートとなるのは、4月16日の横浜アリーナ大会。対戦カードの正式決定を期待して待ちたい。
(文・橋本宗洋)