「1.4」とは1月4日のことであり、プロレスファンが「イッテンヨン」と呼ぶ特別な日だ。毎年、この日には新日本プロレス最大の、ということは日本プロレス界最大のイベントである東京ドーム大会が開催されるのである。

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(今大会のポスター。まさに多彩としか言い様がない面々が登場する。)

 そこに、2015年からは新たな「イッテンヨン」も加わった。DDTの系列団体である東京女子プロレスが、後楽園ホール大会を開催しているのだ。興行はお昼からだから、新日本・ドーム大会とのハシゴ参戦も可能になっている。

 巨大なスケール、さらに歴史と伝統を誇る新日本に対し、東京女子が旗揚げしたのは2013年。ライブハウスのフロアにマットを敷いて試合を行なうアイドルライブとの合同イベントなど、規模こそ小さいが独自の活動で存在感を発揮してきた。大会後に開催される、選手とのチェキ撮影会もお楽しみの一つ。

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(アニメちっくアイドル・知みなみ(中央)がセコンドにつくのは「東京女子プロレスの愛と平和を守るニューヒーロー」ハイパーミサヲと辰巳リカのタッグ。)

 そんな団体だけに、選手たちの個性も強烈だ。格闘技経験のある、いわゆる“アスリート”は少ないが、テクニシャンもパワーファイターもいる。それになぜか、婚活中のアラサー女性も。

 それが、のの子&滝川あずさのユニット「婚勝軍」。本来、東京女子プロレスは酒・タバコ・男が禁止の「3禁」制なのだが、年齢的にそうも言っていられない2人が立ち上がったわけである。「婚活で強くなる」をモットーに闘う婚勝軍の武器は雑誌「ゼクシィ」。その分厚さ、重さから「これで殴ったら相当痛いんじゃないか」と言われてきたこの結婚情報誌が、ついに凶器として使われてしまった。

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(片時もゼクシィを手放さない、婚勝軍の滝川あずさ(右)&のの子。)

 今のところゼクシィの同士打ちも多く、婚勝軍の勝率は決してよくない。しかし、2017年の1.4後楽園大会では婚勝軍が清水愛&ローラ・ジェームスと対戦。この2人は既婚者、すなわち人妻ということで婚勝軍は燃えに燃えている。清水の夫・リングアナの井上マイク氏をコールに起用し、レフェリーはローラの夫でレスラーのジョーイ・ライアン。愛する者の前で屈辱を味わってもらおうと、そういう作戦の婚勝軍なのだった。果たして勝つのは婚勝軍か、人妻軍か。ゼクシィ攻撃と夫婦愛のどちらが強いのか……。

 さらには、福岡のアイドルグループ・LinQのメンバーである伊藤麻希がプロレスラーとして正式デビューを果たし、今大会で東京初上陸。対戦相手も“筋肉アイドル”才木玲佳ということで、アイドル同士のプロレス対決が実現することに。長くリングアナを務めてきた「アニメちっくアイドル」桃知みなみが、卒業となる今大会で試合のセコンドにつくことも決まった。

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(2015年の1.4後楽園でデビューし、いまだ無敗の王者・優宇。巴投げからの腕ひしぎ十字固めが必殺技だ。)

 そしてメインでは、団体最高峰の実力者対決も実現する。シングル王座「東京プリンセス・オブ・プリンセス」のベルトをかけて闘うのは、デビュー以来無敗、柔道の猛者で総合格闘技の練習も積む王者・優宇と1.4メイン連続出場となる技師・中島翔子。両者の対決は、どこに出しても恥ずかしくないクオリティになること確実だ。

 他のどの団体にも似ていない、だからこそ楽しい東京女子プロレス。「新日ドーム」とダブルヘッダー観戦すれば、プロレスの魅力の一つである“幅の広さ”を、間違いなく味わうことができる。

 文・橋本宗洋

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