旗揚げ以来、超満員の大会が続く絶好調の新生K-1に、また新たな強豪ファイターが参戦することになった。REBELS 70kg級チャンピオンの日菜太だ。

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 日菜太は日本の中量級でも屈指の実力者。アルトゥール・キシェンコやアンディ・サワーといった、旧K-1(K-1 MAX)のトップファイターにも勝利を収めている。

 ファイトスタイルは蹴り技主体。サウスポーの構えから繰り出す、ミドルキックを中心とした足技は強力だ。意外なところで敗北を喫してしまう“取りこぼし”もあるものの、ツボにハマった時の強さは一級品といっていい。

 そんな日菜太だが、この数年はずっと悩みを抱えながら闘っているように見えた。参戦していた旧K-1が活動停止。RISE、REBELSといった後楽園ホール、ディファ有明をベースとする大会を主戦場にしてきたが、そこではなかなか大きなチャンスがめぐってこなかった。やはりビッグイベントでなければ、強豪外国人選手との対戦は難しい(それでもキシェンコ戦やサワー戦は実現したのだが)。

 ビッグイベントといえば一昨年にスタートした新生K-1があるのだが、K-1とREBELSは“競合団体”だけに交流がなかった。次々と名を上げていくK-1ファイターたちを、日菜太は複雑な思いで見ていたはずだ。ツイッターで業界への愚痴めいた内容をつぶやくことも少なくなかった。

 そこで、日菜太が所属するジム・クロスポイント吉祥寺(およびREBELS)代表の山口元気氏が動いた。「K-1に出たいか?」と聞くと「出たいです」と答えた日菜太。その思いを叶えるべく関係者と交渉、1年間の専属契約という形で日菜太のK-1参戦が決まったのだ。数多くの団体が乱立し、それぞれにチャンピオンを認定している中、“団体の壁”を超えての交渉成立は、業界に与えるインパクトも大きい。

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 日菜太は来年2月25日の代々木第二体育館大会からK-1に出場する。対戦相手はまだ未定だが、タイミング的には絶妙といっていいかもしれない。なぜなら、初代スーパー・ウェルター級(70kg)王者のマラット・グレゴリアンの王座返上が決まり、来年は新王者決定トーナメントが予定されているのだ。

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 山口代表が日菜太のK-1参戦にゴーサインを出したのは、実力的に「勝てる」と確信したからでもあるという。日菜太自身、来年のK-1には全大会出場して「主役になりたい」とアピール。現在のK-1スーパー・ウェルター級の選手たちに対しては「自分がやったら勝てると思っていた。それを実際に闘って証明します」と力強く語っている。

 とはいえ、K-1が過酷な戦場であることも確か。日菜太がK-1で輝きを増すのか、それとも各階級に魅力的な選手を多数、抱えるK-1に飲み込まれてしまうのか。いずれにしても、2017年のK-1は見逃せない要素が一つ増えたことになる。

 文・橋本宗洋

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