3月20日、DDTプロレスが旗揚げ20周年記念大会をさいたまスーパーアリーナ・メインアリーナで開催する。1997年、たった3人でプレ旗揚げ戦を行なった弱小団体がここまで成長したことは、プロレス史に残るサクセスストーリーだと言えるだろう。
(2.19後楽園大会、竹下をタッグマッチで下し、大会を締めたHARASHIMA。)
さいたま大会のメインイベントで行なわれるのは、団体の最高峰であるKO-D無差別級のベルトをかけたタイトルマッチ。王者・HARASHIMAに挑むのは竹下幸之介だ。
これまで何度もベルトを巻き、飯伏幸太らとタイトル争いを演じてきたHARASHIMAは、いわばDDTの歴史を象徴する存在だ。対する竹下は21歳。高校時代にデビューし、その才能を高く評価されて「THE FUTURE」という異名がついていた時期もある。
大社長こと高木三四郎も「20年の集大成」というさいたま大会。しかし「団体ではなく個々の歴史もある。とにかくいい試合をしてほしい」とも。HARASHIMAvs竹下は、単なる新旧対決ではないのだ。
「僕だってDDTの未来を背負ってる」HARASHIMAはそう言う。過去の実績だけでなく現在もDDTのトップであり、その実力はまだまだ衰えていない。それを分かった上で、竹下は「HARASHIMAさんのライバルになりたい」と言う。
ライバルになるとは、すなわちタイトルマッチでHARASHIMAに勝ち、“挑む”のではなく名実ともに同じステージに立つという意味だろう。竹下にとって、それはDDTの歴史を受け継ぐということでもある。
2月19日の後楽園大会、タッグマッチで行なわれた前哨戦ではHARASHIMAが竹下に直接の勝利。しかし前哨戦には探り合いという面もあり、竹下もHARASHIMAの力を体感したことで、次なる対策を練ってくるだろう。「まだ見せてない部分もある」と竹下は言う。もちろん、勝ったHARASHIMAは自信を高めたはずだ。
3月20日の大一番に向け、DDTのさまざまな大会で前哨戦が行なわれていく。3月5日、浅草橋ヒューリックホール大会では「ROAD TO SSA MAIN EVENTスペシャルタッグマッチ」としてHARASHIMA&高尾蒼馬vs竹下&アントーニオ本多が実現。竹下も巻き返しを狙っていくことになる。
前哨戦の中で闘いの熱が高まり、手の内の探り合いが“本番”での攻防にも影響するのがプロレスの面白さ。激化する前哨戦を見ることで、3.20さいたま大会への期待感はさらに増すだろう。
文・橋本宗洋