3月6日、大田区総合体育館で開催された新日本プロレス『旗揚げ記念日』大会のメインイベントは、IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカvsタイガーマスクWのシングルマッチだった。
タイガーマスクWは、現在放送中のアニメの主人公を実際のリングに登場させたもの。これまでは“特別枠”のような形で試合をしてきたから、今回の試合も旗揚げ45周年記念試合だからこその“夢対決”というイメージがあった。
しかし、試合が始まってみると、3896人、超満員札止めの観客すべてが驚くことになった。とにかくタイガーマスクWの繰り出す技のキレが凄まじい。その身体能力は、まさに超一流だった。
場外に転落したオカダに放った三角飛びケブラーダは、タイガーマスクWの正体と噂される“あの男”の得意技でもある。そして“あの男”が全力を発揮したら、オカダと互角の勝負を繰り広げるのも当然のことではあった。
この試合、タイガーマスクWは華麗な技だけでなく危険な攻撃も見せている。ナックルで殴りつけ、さらに顔面を踏みつけるラフ殺法。さらにレインメーカー式のハイキックでオカダをダウンさせ、シットダウン式ラストライドも敢行。雪崩式タイガードライバーまで使ってオカダを追い込んだタイガーマスクW。
もはやお祭り的な“夢対決”ではなく、タイトルマッチでもおかしくないような大激闘だ。観客が熱狂する中、最後に勝利を掴んだのはオカダ。30分時間切れ寸前、27分03秒でのフィニッシュだった。
オカダがタイガーマスクWを仕留めた最後の展開も素晴らしいものだった。タイガーマスクWの空中殺法を受け止めると、キャッチしたままバックに持ち替えてジャーマン・スープレックスへ。そこから掴んだ手を離さず、必殺のレインメーカーにつなげた。
試合後のオカダは「みんなワクワクしたでしょ」と語っていたが、それ以上の満足感を観客は得たのではないか。今後、タイガーマスクWは新日本マットでも屈指の強豪として認識されるはずだ(タイトル戦線などメインストリームに加わってくるかどうかは不明だが)。
一方、勝ったオカダは絶好調と言っていい。1月は東京ドームでケニー・オメガ戦、2月は札幌での鈴木みのる戦、そして3月にタイガーマスクW戦。今年に入ってから、3カ月連続で名勝負を残している。しかも、それぞれ違うスタイルで。
現在のオカダは、新日本の頂点に立つ者として、キャリアのピークを更新し続けている状態。45周年、記念イヤーの新日本プロレスを引っ張るにふさわしい存在だ。