ネットの“アレルギー叩き”は理不尽すぎる 手間や配慮は「当たり前」

 ネット上では日々誰かが叩かれ続けているが、かなり意味不明である叩きは「アレルギー叩き」である。2017年2月、山形県米沢市の中学校で、給食のドライカレーに小麦粉が入っていたことから、小麦粉アレルギーの2人の生徒がアレルギーの症状を訴え、うち1人が病院に運ばれたというもの。米沢市の教育委員会が2月23日に明らかにした。学校側はドライカレーに小麦粉が入ってることを生徒に伝えなかったという。

 食物アレルギーは場合によって命にもかかわることがあるため、昨今の給食ではアレルギー反応を起こす恐れのある食材が使われていることを事前に生徒・保護者に伝えている。そうしたメニューの日は自宅から弁当を持参したり、代替食、除去食を用意したりなどの対応を取るという。

 一体なぜ、ネットでは「アレルギー叩き」が発生するのかといえば、「他人様に迷惑をかけやがって」「お前のような少数派のために多くの人が手間をかけなくてはいけない」ということに行きつく。当件について、ネットの巨大掲示板『2ちゃんねる』で書き込まれた「アレルギー叩き」の意見を見てみよう。

【ネット上の「アレルギー叩き」の意見の一例】

・〈小麦アレルギーなんてそもそも生きてる資格なし〉

・〈親が偏食ばかりして、インスタントとかお菓子とかファストフードばかり食ってバランスの良い食事をしないからこんな子供ができる〉

・〈小麦粉アレルギーのあるやつが、なんでみんなと同じ給食を食ってんだ? 学校側と他の生徒の親は、迷惑罪でコイツらを訴えろ〉

・〈アレルギー持ってる子どもはインドに半年ぐらい留学して鍛え直してこい〉

・〈親に弁当を作ってもらえ 迷惑かけるな〉

 これらの意見を読むと、小麦を使った食品を食べられないことは(他人に合わせられないため)迷惑だと考え、しかも気合も根性もない子供達を「ひ弱」扱いしている様が見て取れる。2013年、東京都調布市の給食で、乳製品アレルギーを持つ小学5年生の女児に対しては、チーズの入っていないチヂミを提供したが、彼女がお替わりをしたときに教師が誤ってチーズ入りのチヂミを渡してしまい、女児は死亡した。

 このときも同様の非難が発生し「お替わりをするとは、いやしい」といった意見のほか、「チジミって韓国料理? そんなもん食べさせるからだよ、病名は『韓国アレルギー』だ!」と、なぜか韓国叩きの意見まで多数出る結果となったのだ。

 ネット上にはびこるさまざまな「叩き」は、ときに理不尽なものはあるが、この「アレルギー叩き」は相当レベルの高い理不尽さだろう。アレルギー体質の子供を産んだ親がまず叩かれ、除去食や代替食を食べる(手間をかけさせた)本人が叩かれる。そして、周囲の子供達や教師が配慮することについては「彼らは被害者だ」となる。

 ここまで血眼で叩く対象を見つける今のネット社会、ここまで来ると「他人の手を煩わせた」だけで叩きの対象になってしまうだろう。2000年代中盤、ブロガーやネタ系サイトが他人の手を煩わす企画を行い炎上することがあった。それは「コンビニでアイスクリームを電子レンジで温めてもらった」や「牛丼店で『牛たまねぎ抜き』を頼んでみた」といったものである。このときは「忙しい店員さんに余計なことをさせるんじゃない!」といった批判があった。これはまだ分かる。しかし、アレルギー叩きはまったく分からない。

 だって、適切な配慮をしないと命が失われるのですよ。手間や配慮をかけることなど当たり前ではないか。

文/中川淳一郎(ネットニュース編集者)


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