3月11日、韓国の総合格闘技団体『ROAD』主宰による女子選手の新リーグ「XIAOMI ROAD FC 037 XX」が韓国ソウルのグランドヒルトン・コンペンションセンターで開催され、5人の日本人女子ファイターが参戦。メインではライカ(来家恵美子)がカン・ジンヒに判定勝ち、セミファイナルのしなしさとこは、現役女子高生ファイター、イ・イェジに判定で敗れた。
メインカード全7試合が女子による「ROAD FC XX」のオープニングマッチ。日本からは、来家恵美子、しなしさとこ、華DATE、藤野恵実、原田志保の5選手が出場した。
ストロー級5分2R、原田志保は韓国のシム・ユリとの対戦は、2R判定で22歳のユリの勝利。ともにデビュー戦、身長差とリーチのある原田がラウンド序盤は打撃とケージでのプレッシャーで優勢にすすめるが、体を入れ替えられる場面も。原田は下からの三角絞め、上になってのパウンド、腕十字などを決め1ラウンドを有利にすすめラウンド終了。
2Rにはいると打撃の攻防で有効打を当て始めたシム。ローキックなど連打でポイントを稼ぎつつ、原田のタックルやケージへ詰めたプレッシャーにも冷静に対処し、テイクダウン後は的確にパウンド、さらにラウンド終了間際の体当たりからの連打とジャッジへも強く印象づけに成功した。
ストロー級5分2R、藤野恵実対ロシアのナタリア・デニソヴァは、藤野のリアネイキッドチョークで一本勝ち。
36歳のベテラン・藤野と、昨年「RIZIN」にも参戦したことでも知られるナタリア。日本デビュー戦となった村田夏南子戦は、レスリング技術に完敗だっが、この試合でもスタンドでの鋭いパンチに対して寝技の弱さを露呈。前半こそハイキック、スーパーマンパンチと多彩な攻撃をみせるも、藤野にテイクダウンを奪われると、ハーフガードからのパウンド、じっくり攻られ腕十字と追い込まれていく。
1Rは、なんとか凌ぎきったデニソヴァだったが、2ラウンド開始直後に藤野にテイクダウンされバックからチョークを決められ失神。
鮮やかな一本勝ちをおさめた藤野は試合後にインタビューで「3月11日に勝てたことを日本人として嬉しい。ROAD FCのリングでベルトを巻きたい」と今後の設立される女子タイトルへの意欲を語った。
続いてアトム級2R、イム・ソヒ対華DATE。20歳同士、ともに奇抜なファッションで注目を集めるスター候補同士の対戦は、判定でイム・ソヒの勝利。
サウスポーの独特の間合いをみせる華DATEに対し、スタンドよりも組み付きケージ際での攻防を狙うイムが組合いや、華DATEの飛び込み気味の攻撃を投げでいなし上を取る展開。第1ラウンド3度の組合いの攻防いずれもイムが制しパウンドなどでポイントを稼いで行く。
2R逆転を狙いサイドキックなどで攻撃の流れを変えたい華DATEに対して、離れ際でイムが的確にパンチを当てる。首相撲など組合の攻防でもイムの強さが際立ち、3-0の判定でイム・ソヒの勝利。
しなしさとことイ・イェジルの3R女子46.5キロ級は、判定でイの勝利。
韓国の人気女子高生ファイター、イとの再戦は2年前の東京での「ROAD FC」以来。その時はしなしが勝利しているが、今回は「女子46.5キロ級」、計量でもしなし、43.4キロに対してイ、46.8キロと、推定5キロの階級差のある試合となった。
試合開始早々、パワー勝負でイがテイクダウンを奪い、強力なパウンドを打ち込み、しなしが防戦の中で足関節などを狙う展開。1R、2Rは完全にイが力で圧倒するが、しなしもテイクダウンの体を入れ替えバックからチョークを狙うなど寝技で対抗し腕を奪うシーンもあるが、振り切られパウンドを被弾する苦しい場面が続く。
3Rに入ると、イのペースが落ち、しなしが寝技の展開からアームバー、残り1分半で腕を決め攻勢に出るが、ここもパワーで振り切られラウンド終了。圧倒的な体格差で組まれたカードということで、しなしの健闘も十分に讃えられるに値する内容だが、イの技術的な成長も感じさせる試合だった。
こちらも昨年の日本での「DEEP JEWELS」リベンジ・マッチとなったメインの風神ライカこと来家恵美子は、韓国のカン・ジンヒの対戦。結果はライカの判定勝利による2連勝。
元キックボクシングの三冠女王ライカに対して、カンも打撃戦に持ち込もうとするが、1R前半にライカの連打がカンの顔面にクリーンヒットしダウン。その後ケージ際の攻防などで膠着するも、カンは左目下を大きく腫らし終始ダメージを引きずりながらの試合となる。
ライカは、打撃戦で的確にボディへのパンチやローを叩き込み試合を有利に進めつつも、敢えてMMAルールに拘り組合や寝技での試合に持ち込み、数度テイクダウンを奪うもその後は決定打を欠いた展開に。2Rもサークリングの攻防からショートレンジで放ったパンチでカンからフラッシュぎみのダウンを奪うがフィニッシュには持ち込めず。ケージ際での首相撲やプレッシャーの掛け合いのまま最終ラウンドへ。3Rにはライカがテイクダウンからバックを取りパウンドを浴びせる場面も見せるが、これも決めきれずに3R判定に持ち込まれた。
世界的な盛り上がりを見せる女子MMAにあって、アジアで女子選手を前面にメインカードを組む大規模な大会は今回がはじめて。10代~20代の韓国人女性ファイター対日本の女子格闘技を牽引してきたベテラン勢という構図となった「ROAD XX」だが、実戦を積ませて成長を促す「ROAD FC」の女子カテゴリーへの先行投資的な姿勢も垣間見えた。
選手層や技術など世界的なレベルにはまだ遠くカードによっては随分荒削りな印象だったが、東アジアで女子MMAが発展する最初のステップとして数年後が楽しみなリーグの誕生を歓迎したい。
(C)ROAD FC XX