
20年前から文化庁が主催している「文化庁メディア芸術祭」、通称“メ芸”。アート、アニメーション、エンターテイメント、マンガの4つの部門ごとに世界各地から作品を募集。審査の上、その中から受賞作を選ぶアートとエンターテイメントの祭典だ。
1997年に設立された歴史のあるイベントに物語評論家のさやわか氏は「2004年にはプロジェクションマッピングの元になるようなものが大賞。いわば今の流行を作るようなものが10年ぐらい前から注目されている」「政府が扱うサブカルチャーとかで賞を与えるようなものはクールジャパンとかがありますが、あれは経産省がやっていて、あらかじめ人気があったり、よく売れているものを日本の外部に持ち出そうというプロジェクト。こっちは文化庁がやっていて、いわば今売れていなくてもいいから、ちゃんと文化として価値があるかどうかを判断している」と価値を高く評価。

文筆家の古谷経衡氏も「良質なアニメ、漫画の基準。ここで紹介されたりする作品に外れはありません。国がやるこういうもの(イベント)はろくでもないものが多いが、これは素晴らしい。審査員はガンダム(監督の)の富野由悠季ですし、センスがいい」と絶賛した。
3月16日には第20回文化庁メディア芸術祭の受賞作品が発表された。本年度の作品応募では、過去最高となる世界88の国と地域から4034作品が寄せられた。
まずアート部門の大賞に輝いたのは、ドイツのRalf BAECKER氏作「Interface I」。モーターを192個使い、複雑な動きを見せるもの。優秀賞には、日本の「Alter」制作チーム作「Alter」が選ばれた。外見だけではなく、複雑な動きで表現した機械人間。光や距離を感知するセンサーが付いているので、近づくとこちらを見てくるというもの。

アニメーション部門の大賞は新海誠氏の「君の名は。」が受賞。世界での興行収入が日本で歴代1位を獲得した「君の名は。」が堂々の大賞を勝ち取った。
実は新海誠監督は2002年のメディア芸術祭でも、デビュー作「ほしのこえ」で特別賞を受賞。“メ芸”の先見の明が証明された格好となった。エンターテイメント部門の大賞は「シン・ゴジラ」。あらゆる手法を使った撮影や、本土決戦シミュレーションとしてブレないつくりなどが、エンターテイメントとして評価された。
そしてエンターテイメント部門の優秀賞に選ばれたのが「ノーソルトレストラン」。これはフォークから出る電流が舌を刺激、塩味がついているように錯覚させるもの。高血圧の患者に対する食事など、医療現場での活躍が期待されている。
年々規模が大きくなり、人気を博している「文化庁メディア芸術祭」。大賞などに選ばれた作品は9月に東京・初台で公開される予定となっている。(AbemaTV/AbemaPrimeより)
(C)AbemaTV
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