昨年からAmazonプライム・ビデオで配信されている「有田と週刊プロレスと」が面白い。
プロレス好きで知られるくりぃむしちゅーの有田哲平が、MCを努める本格的なプロレストーク番組で、プロレスが最も広がりを見せた80年代半ばから00年代を中心に、近年のプロレスまで扱い扱う年代も幅広く、昨今増えている新しいプロレスファンにも楽しめる内容となっている。
「プロレス大好き有田哲平が週間プロレスをひたすら見てひたすら語る、そこから人生に役立つ何かを教える番組」と銘打つ通り、プロレス史に残る出来事を紹介、その顛末まで語りながらそれなりに教訓に落とし込みまるで人生の縮図を見ているようだ。
毎週更新されるこの番組だが、3月4週目の「No.18」は、テーマは2004年の2月29日ZERO-ONE両国大会での橋本真也と長州力戦。新日本プロレスを解雇された橋本と、その発端を作った長州という図式で「遺恨時代」と銘打たれ2001年1月4日の東京ドーム戦を経て、2004年に橋本真也のZERO-ONEリングで実現した試合は最後の「長州VS橋本」でもある。ZERO-ONEのカードということで、もはや新日本プロレスのアーカイブで見ることもできないので、時代の経過とともに幻のカードになりつつある。
試合結果は橋本が11分8秒片エビ固めで勝利しているが、あまり試合内容について記憶している人は少ない、それ以上にこの試合に至るまでの紆余曲折が話題に事欠かないこともその理由だろう。番組でも試合には殆ど触れず、遺恨についての物語に大半の時間を割いている。
若手時代の鉄拳制裁を契機に長らく続いた橋本の長州に対する恨み、新日本別働隊から切り離された橋本率いる団体「ZERO-ONE」についてなど経緯を語りつつ、あの伝説の「オイコラ」と「タココラ」しか聞き取れない長州と橋本「コラコラ問答」、今の総合格闘技風にいうとフェイスオフでの舌戦を有田が一人で再現するシーンなど見どころは多い。
毎回おさらいのように復習する、日本のプロレスの歴史。全日本、新日本から枝分かれしていくUWF、三銃士、四天王時代と選手名アシスタントの「プロレス女子」倉持明日香が回を重ねるごとに進化する姿も見ものだ。この回では「鶴藤長天」=「オレたちの時代」まで学習し、もはや歴史の試験勉強のようになっている。
冒頭に「プロレスは人生の縮図」と書いたが、お金の問題や、人間模様、さまざまな大人の事情も含め、ショービジネスにも関わらず泥臭い要素も戦いのスキマに紛れ込んでくるのがプロレスの歴史。そういう意味では歴史本同様そこから学ぶことは多いかもしれない。