総務省が支援するプロジェクト「異能(Inno)vationプログラム」、いわゆる「変な人プロジェクト」。一見何の役に立つか分からない変な発明の研究に、総務省が一人上限300万円を支援し、関心のある企業とマッチングするというものだ。
テレビ朝日政治部の記者・小野孝氏は「そもそも“日本のスティーブ・ジョブズを目指せ“というキャッチフレーズで始まった。どうしても独創的な発明が日本は得意じゃないのではないかと。変わった発明を応援するプロジェクトだが、何度失敗しても挑戦ができるシステム。知的財産権も、あくまでもその人に帰属する」と説明する。
3回目となった今回は、初めて年齢制限を撤廃したことで、5歳から86歳までの応募があり、女性からの応募も初年度のおよそ3倍である234件に増加した。今年度からはスーパーバイザーに高須クリニックの高須克弥院長が就任、医療用の発明などを体験した。
最終選考に残ったものの中には、まさに「変なもの」が目白押しだ。なかでも「デジタルシャーマン・プロジェクト」は、亡くなった人の声やクセなどを再現するプログラムで、生前にデータを収集し、家庭用ロボットにインストールするというもの。亡くなった後の49日だけ活動し、新たな弔いの形を提案している。
発案者である市原えつこ氏は「その人が生きているうちに、その人の顔とか仕草を撮っておいて、その人が亡くなってしまってからも49日間だけ擬似的に一緒にいることができるという作品」。このプロジェクトを始めたきっかけについても「自分の祖母が亡くなり葬儀に参加したことがきっかけ。葬儀というものに重要な要素が詰まっていると気づいた。葬儀や弔いを現代のテクノロジーでアップデートできないかと始めた」と振り返った。
そのほかにも、リアルな表情が操作可能なマスク「表情表出システム」や、手をかざすとセンサーが反応し、光りながらウネウネと立体的に動くロボット「うねうねわらわらアニマトロニクス」、笑いの仕組みをデータ化し、大喜利の「フリ・ボケ・ツッコミ」を瞬時に生み出す「大喜利人口知能」など、エンタメ分野の技術が展示された。
この「異能(Inno)vationプログラム」は総務省のICT成長戦略のひとつとして始まった。既存の常識にとらわれない考えをもつ人(変な人)を応援し、より独創的な発想が生まれることが期待されている。(AbemaTV/AbemaPrimeより)
(C)AbemaTV