4月3日、映画『孤狼の血』製作発表会見が都内で行われ、キャストが発表された。主演を務めるのは俳優の役所広司。共演者には松坂桃李、真木よう子、滝藤賢一、田口トモロヲ、石橋蓮司、江口洋介など、日本を代表するキャストの名が連なった。
原作は柚月裕子の同名小説。『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』で日本映画賞を総嘗めした白石和彌監督がメガホンを取り、暴対法成立以前の広島・呉原市を舞台に、暴力団組織間の激しい抗争や警察と暴力団との関わりを描く。公開は2018年春を予定している。
役所広司、松坂桃李…日本映画界を代表する最高のキャストが集結
イベントには、暴力団との癒着を噂される刑事・大上章吾役の役所広司、大上と共に捜査を担当する日岡秀一役の松坂桃李、クラブのママ・高木里佳子役の真木よう子、五十子会の組長・五十子正平役の石橋蓮司、尾谷組の若頭・一之瀬守孝役の江口洋介、そして柚月氏、白石監督が登壇。
今回のキャスティングについて、白石監督は「考えうる限り最高のキャストを揃えました」とコメント。柚月氏も「圧巻の一言でございます。想像していた以上のオーラと迫力。どんな映画になるんだろうと想像もつきません。凄い映画になると確信しております」と語っている。
松坂は2017年秋公開の『彼女がその名を知らない鳥たち』でも白石監督作品に出演しているが、「白石さんとはこの間までご一緒していて、とんでもない方だなと衝撃を受けて。こんなにも早く一緒にできるとは、嬉しいです。次はどんな現場になるのか。必死に食らいついていこうと思っています」と意気込みを語った。
真木は、同作の魅力や自身の役について「男の人の映画で、原作を読んでいてもかっこいい。もし自分が男だったら、ヤクザの役で出たいと思いました。けれど里佳子も気合いの入った役なので、負けじとかっこいい女を演じようと思っています」とコメント。
役所は、「広島の呉弁に悪戦苦闘しています。クランクインまでに頑張ってマスターしなければ」と呉弁の役作りに苦戦しているよう。しかし、「最近の日本映画には元気がある作品が少ない。このテイストの映画は東映で撮らなきゃ!警察もヤクザも真剣に生きてるんですけど、そこにユーモアもあってそれも魅力のひとつ。大上の法律なんて関係なく捜査しているのだが、彼なりの正義がどう伝わるか楽しみ」と作品の魅力を語り、「石橋蓮司さんが演じる五十子というキャラクターには決め台詞があるのですが、それは蓮司さん以外似合わない。助演俳優賞が楽しみです」と、共演の石橋の演技に期待した。
ヤクザ役を演じる江口は役作りについて、「なかなか現場を見たり、人に聞きながら役作りできるような役ではありませんが、なんとなく街を歩きながら、そういう人を見つけてリサーチしています」とコメント。石橋も「警察の方の御心を忖度しまして、争い事の無いような安心安全なまちづくりに協力していきたい」と語り、会場を笑わせた。
また、役所と松坂はCMや映画『日本のいちばん長い日』で共演しているが、今作ではバディとして共演。松坂は「本当に幸せで、楽しみでしょうがないです」と語り、役所も「監督が撮影の余白を作ってくれたら酒でも飲みに行きたい」と、ロケ地・広島での交流に期待していた。
硬派な映画を作りたい「コンプライアンスとか自主規制はしない」
白石監督は「柚月先生の書かれた熱い小説が映像化できること、僕が監督できることにワクワクしている」とコメント。かなりハードボイルドな作品だが、柚月氏が同作を書いたきっかけは『仁義なき戦い』シリーズ。同作の大ファンで何度も見ているとう柚月氏は、「いつかこんな熱い物語を描いてみたいと考えていた。『仁義なき戦い』なくしてはこの作品はありえませんでした」と語っている。
白石監督は原作を読み、「男たちの情念がぶつかり合った熱い物語に、最近の日本では見ないものを感じた」と感動したようで、「どんな人が書いたんだろうと思ったら、美人の柚月先生で、それが一番驚きましたが(笑)」と女性の柚月氏が原作者だということに驚いたのだという。「最近日本ではなかなか見ない硬派な映画を作りたくて、『凶悪』や『日本で一番悪い奴ら』を作ってきたが、ようやく一番作りたい作品を作れる。コンプライアンスとか自主規制しないで、やりたいことを全部やる」とかなりの熱のこもりようだった。
テキスト:堤茜子
(c)2018「孤狼の血」製作委員会