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 インターネットメディアに対する信頼度が揺らぐ中、小児科分野の医療情報を現役の医師たちが発信するサイト『小児科オンラインジャーナル』が注目を集めている。

 運営しているのは小児科医歴8年で株式会社KidsPublicの代表を務める橋本直也医師をはじめとする若手小児科医のグループだ。橋本医師は「1番のキーワードは"子育て支援"です。子育ての不安に寄り添いたい、それがメインコンセプト」と話す。

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 執筆メンバーは現役小児科医27人。掲載されている記事は、病気、ケガ、食生活など多岐にわたり、執筆された記事は別の医師、編集者が確認し、公開する。内容によっては数回のやり取りが行われ、執筆から公開まで約1~2週間かかるという。例えば「おねしょは何歳まで様子をみていたら良いのでしょうか。原因や治療法はあるのでしょうか」といった、親が周りの人には聞きにくい子育ての悩みに対して「夜尿症診断ガイドライン2016に沿ってお答えします」といったものがある。

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 サイトの立ち上げを計画したのは"肩こりの原因は幽霊?"といった内容の記事が問題になった、DeNAの医療系キュレーションサイト「WELQ 」が注目された去年秋よりも前のこと。橋本氏は診察室で多くの親子と接するうち、信頼される医療メディアが必要だと考えたのだ。

 橋本医師は「ネットで調べて"余計に不安になってきました"というお母さんに数多く出会ってきました。過度な不安につながっているのかなと思います」と、ネット上に情報があり余る現状のデメリットを指摘する。

 橋本医師が書いたじんましんの記事を、編集長役の安藤友久医師がチェック。「きっかけが感染なのだろうけど表現が難しい」という橋本医師に、安藤医師は「原因不明と言われてモヤモヤがすっきりするかというと、全然すっきりしない。ウイルス感染が原因ということをプッシュした方が良さそう」と答える。記事はこのように医師同士が議論、チェックしあいながら作成されていく。

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 安藤医師は「9割が正しい情報であっても断定的には書きづらい。でも、そうすると読みづらさにつながってしまう。どちらの観点でも嘘がないようにしなくてはいけない。表現は他の医師のアドバイスも受けています」と明かす。「愚直に質を担保しながら、だいたい週1本のペースで公開しています。それを愚直に続けていくだけでも、かなりの蓄積になると思います。今のところはそれを目標にしています」。

 現在公開されている記事は50本ほど。決して多くはないが、"量より質"は譲らず、積み重ねていきたいという。

 "WELQ問題"を報道してきたBuzzFeed Japanの古田大輔氏編集長は同様の問題の再発を防止するためには「取材、執筆、確認の体制をどうするかというところまで決めておかないと、再発防止にはならない」と指摘。「医師が書いて、それを医師がチェックして出すというのは非常に画期的だと思います」と話す。

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 運営資金は、個人会員の会費や企業の健保などとの契約で成り立っている。昨年5月には、記事への疑問をメンバーの小児科医にLINEなどで相談できる機能をスタートさせた。

 「小児科オンラインジャーナルは全くマネタイズしていないです。中心になっているのは"小児科オンライン"という相談事業です。こちらはLINE、電話、スカイプで直接小児科医に相談できるというサービスです」(橋本医師)。

 橋本医師は、医療情報の信頼性を見極めるためには「誰が書いたのかがはっきりとしているかどうか。監修と書いてあるだけではなく、執筆者が書かれているとさらに信頼できます。引用元がきちんと書いてあるものが信頼できると思います」とし、「どの医師が書いたのかを顔写真とプロフィールまで載せて、記事を公開しています。お母さんたちの頭にパッと浮かぶのが小児科オンラインジャーナル、そうなるように質の高いものを書き続けていくことが重要だと思っています」と語っている。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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