長時間、座ったままで対局に臨む将棋棋士に、新たなサポート役が登場した。日本将棋連盟の対局で、4月から2万円相当の高反発座布団が使われるようになった。棋戦では短いものでも数時間、名人戦七番勝負ともなれば、持ち時間が各9時間で2日がかりともなるだけに、棋士の足への負担も大きい。この高反発座布団について、野月浩貴八段(43)に話を聞いた。
座布団には棋士それぞれ好みやこだわりがある。薄めの座布団が好きという野月八段は「人によって高反発やフカフカが好きなど、好みがありますね」と説明した。棋士とはいえ、ずっと座っていれば足もしびれる。集中を欠く原因にもなるわけだ。
棋士もいろいろと工夫をしている。体重が増えすぎると足がしびれてしまうため、ベスト体重をキープするよう努めるという。「長時間になるとあぐらよりも正座の方が楽です」。もともと和の文化として修行の段階から畳の部屋で正座して対局することがかっこいいというイメージもあり、一般の生活は洋室・テーブルになっても和室・正座が続いている。
座り方にもくせがある。一般的には両膝をつけて正座する。増田康宏四段(19)や中村太地六段(28)、稲葉陽八段(28)は真っ直ぐに座るが、佐藤天彦名人(29)は集中し始めると脇息(きょうそく)に埋もれていく。また最年少棋士の藤井聡太四段(14)であれば、膝をつけずに斜に構えて座り、前のめり気味になる。
座り方、座り位置で、盤面の見え方が変わってくる。引いて見たい棋士もいれば、突っ込みながら見たい棋士もいる。野月八段は「近すぎると指したくなるので、冷静になる意味も込めてちょっと引き気味に構える」ことで、自身をコントロールしている。
今回導入された高反発座布団が、棋士たちに強い味方になるか。座り方に影響があるか。盤面だけでなく、棋士の足元や仕草に注目してみるのもおもしろい。
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