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 「Xデーは4月27日」

 韓国で、アメリカによる北朝鮮空爆が4月27日に始まるとの噂が広まり、緊張感が高まった。だが、韓国の大手放送局JTBCは「追跡してみた結果、この噂は日本の一個人のブログから始まった。一言で言えば偽物。フェイクニュースだった」「4月27日という日も、何の根拠もなく運営者個人の考えでしかなかった」と報道。出処は、日本人のブロガーがテレビ報道を観て意見を述べた、単なる書き込みだったというのだ。

 SNSを通じて韓国国内に大きく広まった今回の騒動。韓国在住の会社員・パク・ソヨンさんは「友達に聞いたら"私も聞いたが、心配はしてしない。戦争にはならない"と。みんな平和なままだと思っている」と話したが、SNSで流布されている朝鮮半島における安全保障不安説に対して、一時は韓国国防省が「惑わされないよう注意してほしい」と注意喚起する事態にまで発展。12日には韓国外交部が「情報誌などで広まっている、4月の朝鮮半島危機説は根拠がない」とする会見を行った。

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 一方、11日、日本の外務省はホームページで、韓国に滞在・渡航する人に対し、直ちに影響はないとしながらも「朝鮮半島情勢に関する情報には引き続き注意してほしい」と呼びかけた。

 発端となったブログは現在、非表示になっている。執筆したブロガーは「日本のメディアが4月中旬から下旬に戦争が起こりうると報じていたので、このように書いた」とコメントしているが、その詳細については言及していない。

 今回の騒動について、BuzzFeed Japan副編集長の伊藤大地氏は「個人のブログが当局に名指しされるのは異例のことだと思う」と話す。

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 「このブログには、『飛行機マイルの節約ライフハックの紹介』など、ごく普通の記事もいっぱいああり、大手メディアを騙るようなデザインでもなかった」と指摘。「その中の一部の情報が切り取られ、ソーシャルメディアで流布していった。最初の時点で悪意があったかないかというのさえ、もはや関係なくなってしまっている」「『新月で暗いから爆撃がしやすい。同じことが湾岸戦争でも起こった』というのは話として面白い。人に伝えたくなる」として、発信者に悪意のある「フェイクニュース」だったのかどうか、慎重に判断する必要があるとコメント。「最初の人は『面白いよね』という感じだったかもしれないが、伝言ゲームで、『かもしれない』というのが消えてしまった」とした。

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 戦場カメラマンの渡部陽一氏は「現代の戦争というのは、武器を使って勝利を収めるものではなくて、情報戦を制したものが相手を押さえ込んでいくという方式が成り立っている」と話す。「今回、ブログの記事で民間だけでなく、国のレベルまで動揺したというのを見て、情報の使い方次第で相手国内に変化を起こしたり、戦いを動かしたりすることができるという恐ろしさを感じた」とした。

 去年12月には、パキスタンの国防大臣が「パキスタンがシリアに軍隊を送れば、イスラエルはパキスタンを核攻撃する用意がある」と主張しているという情報を真に受け、報復措置をとる準備がある旨のTweetを投稿。これに対し、イスラエル国防省が同じくTwitterで「それはフェイクだ、信じるな」と、必死で止めたことも話題となった。

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 国家レベルでこのような状況が生まれてしまうのも注目されるが、伊藤氏は「国家権力が『それはフェイクニュースだ』と打ち消そうと時は気をつけなければならない」とも指摘する。アメリカのトランプ大統領が自分に批判的なメディアを「フェイクニュース」と呼ぶことで、権威を貶めたり、気に入らない報道を抑え込むことも可能となることとして、「誰が、何のためにフェイクニュースという言葉を使っているのかについても敏感になる必要がある」と語った。

 今回、韓国でこのような情報が拡散した背景には、強硬策を取り続ける北朝鮮と、攻撃的なトランプ大統領の言動から来る不安という"下地"があったことも確かだ。米朝関係をめぐって日本でも不安感が広がっているだけに、一層の注意が必要だ。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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