「髪がないと個性がないじゃないですか」「初対面でハゲている人だと、恋愛対象にはならないってうのがありますね」。日本人の男性の実に70%が悩むという薄毛に対し、若い女性たちからは、こんな辛辣な声も上がる。
 髪の毛を自由自在に生やすー。そんな世界でも類を見ない世界最先端の研究が、iPS細胞やスーパーコンピューターなどで知られる、あの理化学研究所で行われているのをご存知だろうか。
 辻孝氏率いる理研の研究チームが行なっているのは、髪の毛を作る器官である「毛包」の再生だ。マウスを使った実験では、2種類の毛包を取り出し、そこから分離した細胞を最適な湿度や温度で保存、培養する。次に培養した細胞を一つに再構築し、毛が生える"タネ"「毛包原基」を作る。これを移植したマウスには、人の頭皮と変わらないほどの密度で毛が生えたという。辻氏らの研究チームが世界で初めて発表したこの技術、非常に難しいものだそうだが、2020年には一般向けの実用化を目指し、京セラと連携しながら研究を進めている。