今月14日、熊本地震の発生から1年が経った。熊本県の北東部、阿蘇山南部に位置する南阿蘇村。震災による大規模な震災により阿蘇大橋が崩落し、かつて「学生村」と呼ばれた東海大学農学部の学生たちが通学していた阿蘇キャンパスがこの地を去った。若者向け総合番組『原宿アベニュー』(AbemaTV)では、熊本地震から1年を迎えた南阿蘇村の今を特集した。
昨年4月16日、熊本地震の本震が発生。学生村では2つのアパートで犠牲者が出た。そのうちの1棟は1階の壁が崩れ、中に多くの学生が閉じ込められた。そのアパートがあった場所は今更地になっている。ここに住んでいた東海大学農学部3年の権田さん。彼女の部屋から2つ離れた部屋の学生が命を落とした。
権田さんは被災した経験をみんなに知ってほしいと、当時のことを伝える「語り部」の活動を行っている。天井が落ち、埋められてしまった権田さんを救ったのは、ノコギリなどを使い救助活動をしてくれた大家さん、そしてスマートフォンだったという。権田さんはスマートフォンのアラーム機能を使って音を出したり、ライトを使ったりして救助を待った。
その後、東海大学の阿蘇キャンパスは閉鎖。断層が発見され、大学側はキャンパスの再建は難しいと判断した。しかし、学生の多くは今でも阿蘇キャンパスへの復帰を願っている。
「月に10日以上は行っている。黒川地区が変わる様子は見ておきたい。いきなりゼロになったらびっくりするから、解体のところを徐々に見て、ひとつひとつを忘れたくない」と語るのは、東海大学農学部4年で、学生ボランティア団体「阿蘇の灯」代表の橋村さくらさん。「阿蘇の灯」は熊本地震から半年後に開催したイベント「みずあかりin南阿蘇」がきっかけで発足した。
「みずあかりin南阿蘇」では、多くの学生と地域住民が半年ぶりに再会。三角灯篭に灯りをともし、犠牲者の冥福と早期の復興を祈った。今年5月には1万人分のメッセージを集めた同様のイベントを開催する予定だという。学生の帰りを待つ地元の人たちに「できますよ再建、させましょ」と力強く励ます。
アパートの下敷きになり、救助された権田さんもこの団体で活動している。「怖さはあるけど、黒川地区での楽しかった思い出のほうが大きい。阿蘇が好きで大学を決めた」と南阿蘇村への愛を語る。今年度、東海大学農学部には228人が入学した。この日の熊本キャンパスには橋村さんの姿があった。熊本地震から1年。黒川地区の住民と学生は学生村のことを伝え続けている。
スタジオでは大川藍が「(学生さんたちは)黒川地区への愛情がすごいあるんだなぁって」と感激。金曜コメンテーターの赤ペン瀧川は「学生たちの活動を見ると『ちゃんとやらなきゃな俺』って感じる。人が集まればなんとかなるんじゃないか。なってほしいって思う」と気持ちを語った。
阿蘇キャンパスがある黒川地区は、周辺の国のダム工事は着々と進むが、キャンパス内などは未だに水道が通っていないという。スーパーやコンビニなどもなく、最低限のライフラインにとどまっている。復旧までの道のりは簡単ではないが、学生村再建に向け、人々は動き続けている。
(AbemaTV/『原宿アベニュー』より)
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(ライター/小林リズム)