(「外にも凄い選手がいるね」と試合を振り返った諏訪魔。激闘に手応えを感じたようだ)
今年、旗揚げ45周年の記念イヤーとなる全日本プロレスが、歴史あるリーグ戦「チャンピオン・カーニバル」を後楽園ホール大会(4月16日)からスタートさせた。
三冠ヘビー級王座を長期にわたり防衛中の宮原健斗を筆頭にハイレベルな選手が揃う全日本マット。昨年のチャンピオン・カーニバルでは大日本プロレスの関本大介が優勝するなど、インディーの実力者によって活性化している面もある。
関本に加え大日本、DDTでトップを張ってきたフリーの大物・石川修司も参戦、さらに昨年は欠場していた諏訪魔、ジョー・ドーリングもカムバックしてリーグ戦にエントリーと豪華なメンバーが揃い、後楽園はチケット完売の超満員となった。
ファンの熱気という後押しもあってか、リーグ公式戦は好勝負の連続に。宮原はタッグパートナーであるジェイク・リーのヒザ攻撃に苦しんだものの、最後はシャットダウン・スープレックスで勝利。新世代の三冠王者として「記録も記憶もすべて塗り替える」という意気込み通りの試合ぶりだった。
前年王者の関本はドーリングと激突。パワーファイターの両者は一歩も譲らぬ肉弾戦を展開し、関本がドーリングの巨体を担ぎ上げてアルゼンチン・バックブリーカー、さらにジャーマン・スープレックスで観客を驚愕させる。それでも粘りを見せたドーリングは、レボリューションボムを炸裂させてスリーカウントを奪う。開会式で大乱闘を展開するなど、今のドーリングは気合いが入りまくっている状態だ。
(チャンピオン・カーニバル開会式。開会宣言を務めたのはPWFのドリー・ファンクJr会長)
ド迫力ファイトの余韻が残る中、メインで対戦したのは諏訪魔と石川。この試合も真っ向勝負となり、石川が場外戦でのダイビング・フットスタンプ、コーナー最上段からのミサイルキックなど規格外の攻撃を見せる。さらに頭突きを放つと、諏訪魔は一発で額から出血。
しかし諏訪魔は石川の得意技ジャイアントスラムを阻止すると、ランニング・ニーリフトを受け止めてそのまま抱え上げ、豪快なラストライド。この凄まじい荒技から、最後はバックドロップホールドを決め、開幕戦を勝利で飾った。
昨年のチャンピオン・カーニバルはアキレス腱断裂により欠場、他団体の関本が優勝するのを悔しい思いで見ているしかなかったという諏訪魔。昨年11月の両国国技館大会では宮原に敗れ、三冠奪取にも失敗している。
それだけに、強豪揃いのチャンピオン・カーニバルで難敵・石川を下したことで“逆襲開始”とも言える。時計の針を戻すのではなく「新しい自分の時代を作る」と言う諏訪魔。超満員の観客、その誰もが納得する大会を見事に締めくくった。
文・橋本宗洋