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 「ワタシ、怒っています」

 こう語るのはドイツ国籍の漢字研究者クリストフ・シュミッツさん。ドイツの大学で日本の漢字に出会い、その後来日。漢字の奥深さを西洋の人にも伝いたいという思いから、12年がかりで漢字辞典の英訳版を自費出版した。そんな漢字を愛してやまないシュミッツさんだが、一つだけ気に入らない漢字があるという。

 「自分でも絶対に書きたくない気持ち」とまで嫌う様子を見せるその漢字は「独」。母国ドイツの当て字に使われている漢字だ。ケモノ偏が使われていることに歴史的差別視への違和感があるという。

 「独逸」と書いてドイツ。元々ドイツ語読みの「ドイチュ」が訛ってドイツと呼ばれるようになり、その呼び方から「独逸」と当てられるようになったという。

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 このように国名を漢字で表すのは、7世紀の始め、遣隋使の時代に日本が中国から海外の情報を得ることが多く、国名が漢字で記録されたことに由来するという。その後、明治から大正にかけてカタカナが普及するに従い、カタカナ表記が一般化してきたが、今でも新聞などでは漢字一文字で表記されることが多い。ドイツ以外にもさまざまな国が漢字で表される。

  • インド=『印度』
  • イタリア=『伊太利亜』
  • イギリス=『英吉利』
  • アイスランド=『氷島』
  • シンガポール=『星嘉坡』
  • ペルー=『秘露』

 このような当て字は、漢字の本来の意味とは関係なく音と訓を借りて、当てはめた漢字のうち、その語の表記法として慣用のできたもの、またそのような用字法のことをいう。

 当て字は私たちの生活にかなり深く食い込んでいるという。なんと「時計」も当て字だった。16世紀以前、「日時計」の時代は「土圭(とけい)」と呼んでいたが、16世紀以降、海外からの「機械式時計」の普及により、「とけい」という読みを残したまま当て字「時計」が使われたという。

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 また、文豪・夏目漱石は当て字の名人だった。代表作の中で登場する「先生は性急でいけない」「寸断々々に引き裂いた」という2つの文章。それぞれ「せっかち」「ズタズタ」と読むという。

 さらに今では歌詞でも当て字は頻繁に使われる。「運命」と書いて「さだめ」、「生命」が「いのち」、「永遠」が「とわ」、「破片」が「かけら」など。現代の若者も当て字を多く使っており、「裏山」と書いて「うらやましい」という意味のものがあったり「卍」で「調子にのってる」と表したり、さまざまだ。「卍」は他にも「本気」などの意味を持っているという。将来、これらの言葉から一般化するものが生まれるかもしれない。

AbemaTV/原宿アベニューより)

(C)AbemaTV

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