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 去年4月、熊本県を襲った震度7の地震により大きな被害を受けた熊本城。あれから1年が経過し、天守閣に鉄骨が入るなど、修復に向けた工事が本格化している。その一方、熊本城のすぐ南側にある"城下町"、「新町・古町エリア」が大きな岐路に立たされている。

 400年前、加藤清正が熊本城築城と同時に作った熊本城の武家屋敷と町人屋敷が混在する全国でも珍しい町で、明治10年の西南戦争で町はほとんど焼失したものの復興、戦前までは熊本経済の中心的役割を果たしてきた。現在でも100年以上の歴史ある町屋が点在していたが、今、それらが消滅の危機にあるのだ。「新町古町復興プロジェクト」の調べによると、地震前には382軒あった町屋が、地震で75軒が消滅し、今もなお減り続けているという。

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 築130年を超える古民家を再利用して始めたオーガニックショピングモール「ピュアリィ」も、地震による被害を受けた町屋建築一つ。壁の一部が剥がれ落ち、中庭の石塀は原型がわからないほど崩れてしまったという。修復に踏み切ったピュアリィ代表の反後人美さんは「町の灯を消したくなかった。無くなってから気づかされることがいっぱいあったと思う。このまま殺風景な町にはしたくなかった」と話す。

 一方で、明治19年創業の老舗「森本襖表具材料店」の築140年という歴史ある建物は、修復を諦めて解体することが決定した。森本襖表具材料店の森本たよさんは「修繕費用の4分の3は公費で出してくれるというけれど、残りは私費で賄わなければならない。それがどれくらいの負担になるのかも考えなければならないし、私一人ではそこまでは出来なかった。"せっかくだからこのまま残してください"という声もいっぱい上がっていたのですが、私が食べていけなくなるので。もうここまできたら潮時、もう諦めた方が得だなと思った。前に進まないといけないから」と悔しさを滲ませた。

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 地元のWEBデザイナー吉野徹朗さんは「危険なので早く壊してくれという声もあるが、一度壊せば元には戻らないし、どんどん風情がなくなっていくっていうのは悲しい」という思いから、地域の有志を集め、町屋を残し街を活性化させる「新町古町復興プロジェクト」を立ち上げた。

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 「森本襖表具材料店」のように、被災した中小企業の場合、復旧費用の4分の3まで公費で負担してもらえるものの、そうでない場合、現状では半壊以上の家屋に対して支給される「応急処置費用」の57万円以外は、自費で対応しなければならない。「雨漏りを止めるなど、本当に応急処置にしか使えない。文化財基金というのが2月に発表されたが、それもまだ動いていない。時間との戦い」(吉野さん)

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 同プロジェクトでは、炊き出しや瓦礫撤去、家財道具の運搬を手伝いする傍、専門家を交え、町づくりや復興に向けての意見交換会も開催してきた。吉野さんは、跡地がマンションや駐車場になってしまうことで、人と人とのつながりが薄くなってしまうことを懸念している。被災地以外の人ができることについて吉野さんは「熊本に遊びに来てほしい。被災した熊本城は逆に言えば今しか見れない景色。それを見ながら、お酒を飲んで、楽しんでほしい。そしてまた5年後くらいに来てもらって、"あのときからするとだいぶ復興したね"と思ってもらえると嬉しい」と話している。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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