4月24日のアイスリボン後楽園大会は、通常とは違った形式で行なわれた。試合の合間に絶叫する60度、仮面女子とアイドルのライブが行なわれ、アーティストのゲスト出演もある、いわばフェス形式だ。ライブ中は席を離れてリングサイドで見てもOKにしたことで、アイドルファンの熱気が大会の盛り上がりを加速させたと言えるだろう。
一人団体『崖のふちプロレス』や『新興宗教 崖のふち教』の旗揚げなどオリジナリティあふれすぎる活動で知られる松本都は、この大会でラッパーデビューを宣言。『フリースタイルダンジョン』でも人気のサイプレス上野、デスマッチのカリスマ・葛西純とユニット“サ上と葛西と都”を結成し、サイプレス上野とロベルト吉野の名曲『ぶっかます』で入場。
ラップバトルからのプロレスで真琴勝利も最後はノーサイド
対戦相手はノリ・ダ・ファンキーシビレサス&真琴&hy4_4yh。試合形式はマッチメイクを取り仕切った松本都にも分からない状態だったが、フリースタイルラップバトルで闘うことに。
松本都のラップに対抗し、真琴が五七五でdisり、葛西純までがカンペを見ながらもラップを披露。ノリも紅白出演経験があるヒップホップユニットnobodyknows+のメンバーだけに、さすがのスキルを見せつける。が、真摯なプロレスラー活動の結果、ついに訪れた後楽園初出場のチャンスでラップをやることになったのには、どうにも困惑気味だった。hy4_4yhは全身ロス・インゴベルナブレスグッズで固めるプヲタっぷり。ラップバトル中、葛西に「後でサインください」とねだる場面も。
メインのタッグ王座戦、これまでにないほど感情をぶつけていった雪妃
想像以上に盛り上がったラップ対決だったが、審査員の週刊プロレス・湯沢編集長の「ラップの審査と言われても……プロレスで決着つけてください」の一声で葛西&松本都vsノリ&真琴のタッグマッチに変更。真琴が松本都をフォールし、最後は全員リングインして「プロレスでハッピー、アイスリボン!」で締め。「リングでやることはすべてプロレスなんですよ」という松本都の言葉に応え、葛西純もさらにラップを磨くことを決意。どうやら“サ上と葛西と都”は継続されるようだ。
今大会のメインイベントは、つくし&柊くるみvs世羅りさ&雪妃真矢によるインターナショナルリボンタッグ選手権。試合は戦前から意地の張り合いを見せていたつくしと雪妃が激しい攻防を展開。開始早々の張り手をはじめ、感情むき出しの闘いに。
最後はつくしがジャパニーズオーシャン・スープレックスで雪妃をフォール。しかし試合後には「後輩の雪妃にいつか追い越されるんじゃないかという怖さがあった」と心情を吐露。一方、敗れた雪妃は「全部出しきりました。もう何も残ってない状態までやりました」と激闘に充実感を覚えたようだ。
メインのタッグ王座戦、これまでにないほど感情をぶつけていった雪妃
この日の観衆は931人。平日としては大健闘、アイスリボンの好調ぶりを感じさせる興行となった。とはいえ、取締役選手代表の藤本つかさは、ここでは満足していないという。目指すのはあくまでチケット完売。さらに「(現在はステージとして使用している)北側を(客席として)開放したいんです」とも。
さまざまなコラボ等でプロレスファン以外にも少しずつ浸透し、個性的な選手と試合のクオリティで“一見さん”の心も掴んできたアイスリボン。チケット完売を目指す次回の後楽園大会は、8月27日に開催される。
文・橋本宗洋
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