5月5日、ガッツワールドが3度目の後楽園ホール大会を開催する。
(5.5後楽園大会のメインで対戦するマスクドミステリーとダイスケ。どちらも団体生え抜き選手だ)
旗揚げから10年以上、地道な活動を続けてきたガッツワールド。興行ペースは月に1回、小会場主体の、いわゆる“どインディー”だ。旗揚げしたのは、ガッツ石島ら学生プロレス出身者たち。既存の団体で下積みを経験せず、いきなり団体を作ったから、最初は風当たりが強かった。
それでも少しずつ実績を積み上げ、選手や関係者の信頼を得て、2014年10月には10周年記念の後楽園大会を成功させている。
代表の石島いわく、ガッツワールドのカラーは「新生FMW+WAR」。自身が好きな90年代のプロレスがアイデアの源で、ミスター雁之助、黒田哲広、折原昌夫といった、90年代プロレスファンのツボを抑える出場選手も魅力だ。
といってマニアック路線というわけではなく、学生プロレス同様に場内実況もついている。それが「アマチュアっぽい」という意見もあるそうだが、一方で予備知識が少ない「一見さん」には好評だ。
「一度見てもらったら、すぐに分かると思うんですよ」
石島はガッツワールドのプロレス、そのクオリティに自信を持っているが、5.5後楽園に関しては「正直、かなりピンチではあります」と言う。
中心選手の翔太がヒザの負傷で長期欠場中な上、吉野達彦は昨年いっぱいで退団。さらにミスター雁之助vsディック東郷という好カードが決まっていたのだが、雁之助のケガで流れてしまった。
そこで、負傷した試合の相手だった宮本裕向が男気を見せ、代打出場を買って出た。宮本vs東郷も実力派同士の対決だけに、楽しみにしているファンは多いだろう。女子プロレス界のレジェンド、豊田真奈美の参戦も話題だ。しかも、相手チームには豊田オマージュのレスラー・パピヨン朱美がいる超異色カード。
そしてメインは、後楽園では初となる団体生え抜き選手同士のGWCシングル王座戦。マスクドミステリーにダイスケが挑む。
かつてはヒールサイドの“名脇役”といった雰囲気だったミステリーだが、雁之助からタイトルを奪い、防衛を重ねるうちにどんどん自信をつけてきた。あらゆる体勢から決めることができる“七色のチョークスラム”に加え、苦労人だからこその観客からの声援も大きな武器と言っていい。
一方のダイスケは、長く団体を支えてきたエース。緻密なグラウンド戦からフィニッシュのスライディングD(エルボー)まで、正攻法で巧みな試合運びには棚橋弘至を思わせるものがある。昨年の後楽園で雁之助に敗れて王座陥落、その後はコンディションの不安もあってタイトル戦線には絡んでこなかったが、後楽園大会を前に挑戦権を獲得してみせた。
「最後は自分たちの試合でお客さんを満足させたい。その上で勝ちます」とダイスケ。ビッグマッチを開催する際には他団体やフリーの大物をメインに呼んで話題を作るというやり方もあるが、それでは一過性に終わることも多い。生え抜き同士のメインだからこそ、今後につながるのだ。
(選手兼代表のガッツ石島と4月大会の出場選手たち。「みんなで行こう! 後楽園」の合言葉で団結)
もちろん、集客やその場の盛り上がりを考えれば冒険、挑戦ではある。ゴールデンウィークはただでさえ興行が多く、他団体との“食い合い”になってしまう可能性も。
ガッツワールドにとっては、まさに大勝負。ファンの後押し、ファンと一体になった盛り上がりが欠かせない。5.5後楽園、その大会名は『みんなで行こう!後楽園2017!!』だ。
文・橋本宗洋