5月3日に開催された新日本プロレス『レスリングどんたく』で、メインイベントのIWGPヘビー級選手権に勝利したオカダ・カズチカは、次期挑戦者にケニー・オメガを指名した。
オカダが望んでいるのは、大阪城ホール大会での対戦。関西最大のビッグマッチであり、おそらくG1クライマックス前の最後のタイトルマッチ。その舞台にふさわしい相手がケニーだったのだ。
オカダとケニーは1.4東京ドームで死闘を展開。「ファンが続きを見たがっている」とオカダ。あまりにも壮絶な闘いだっただけに再戦のタイミングが早い気もするが、会場が関西に変わるのは大きい。「オカダvsケニーを生で見たい」というニーズは強いはずだし、この2人の闘いなら外れはないと誰もが思えるだろう。
そこまでの存在にケニーがなったことを、感慨深く見つめているファンも多いのではないか。もともと、ケニーはDDTマットを主戦場にしてきた選手。それ以前はというと、アメリカのインディーマットで闘ってきた。いわゆる“大物外国人”ではなく、日本で育ちながら知名度を上げていったタイプだ。
そのルーツは、裏庭で行なう過激な闘い“バックヤードレスリング”。リングがなくても闘うし、周囲にある道具はなんでも使う。キャッチフレーズは“カナダの路上王”。その大胆でアイデアに満ち、ユーモアもある闘いぶりが評価されて、ケニーはDDTに登場することになった。
DDTでは飯伏幸太とライバルとして、またタッグパートナーとしてトップ戦線で活躍。2012年の日本武道館大会では、飯伏と凄まじい闘いを展開している。スタンド席から飛んでくる飯伏のムーンサルトを食らい、コーナー最上段から場外にフランケンシュタイナーで落とされる。飯伏がそんな過激な技を出せるもの、相手がケニーだったからだ。
ケニーは飯伏とともに新日本マットにも上がるようになり、タッグでプロレス大賞のベストバウトも受賞。そして新日本と直接、契約を結んで移籍すると、バレットクラブ所属としてヒールになり、さらにヘビー級に転向。昨年はAJスタイルズらが抜けて外国勢が戦力ダウンと思われたが、ケニーはその穴を埋めるという以上の働きをしてみせた。
今年の1.4ドーム、オカダ戦が世界的に高く評価され、WWE入りも噂されたケニーだが、彼が選んだのは新日本マット。ケニーにとって最もやりたいことができるリングであり、新日本を世界最高の団体にすることが自分の使命だと、ケニーは考えているのだ。
カナダの路上から世界の頂点へ。そんな経歴を持つケニーだからこそ、試合は破天荒な魅力に満ちている。
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