全国に約3万3000人もの政治家が存在する中、日本の未来を担うべく奮闘する35歳以下の若手政治家たちがいる。
福井県大飯郡高浜町の児玉千明町議、28歳。2015年の選挙で初当選、町議会の最年少議員として新風を吹き込んでいる。力を入れているのは政治を身近なものにすること。議員になってすぐ、それまで無かった傍聴席を設置するよう働きかけた。その結果、今年初めて37席の傍聴席が設置された。
大阪の美容専門学校を卒業した児玉議員は、予約が入れば母が経営する美容室で美容師として仕事をする。2年半前には狩猟免許を取得、山に入ってイノシシやシカなどの狩りを行なっている。捕まえた獲物は全て自分の手でさばき、毛皮やソーセージにしているという。町議会議員、美容師、"狩りガール"という「三足のわらじ」で活動しているのだ。
そんな彼女が政治家になったのは、町が抱える問題を憂い、橋渡し役になって暮らしやすい高浜町を作りたいと考えたからだった。
地元に仕事が少ないことから、進学や就職などで一度町を離れた若者は、高浜町にはほとんど戻ってこない。美容室を訪れる若者と、町の若者離れについて話をする。「僕の友達は大学生が多いんですけど帰ってきてくれたら嬉しいですね」。そう語る男性客の話に耳を傾け、静かに相槌をうつ。"狩りガール"になったのも、高齢化によって、害獣駆除をする猟師が減少していることを知ったのがきっかけだった。
町が抱える問題は、若者離れ・高齢化だけではない。
関西電力・高浜原発の存在だ。昨年再稼働した高浜原発3・4号機は、大津地裁から差し止め命令があって運転を停止したが、今年3月、運転停止を命じた大津地裁の判断を覆し、大阪高裁が再稼働を認める判断を下した。これを受け、関西電力は本格運転を予定しており、3号機が7月上旬、4号機が6月中旬に稼働を再開する見通しだ。
児玉議員は原発について若い人たちの意見を聞くため、夜にはバーなどで若者の意見に耳を傾け、情報収集する。
「原発の否定は自分たちを否定することになるから。それは地元ではないんじゃない?100%否定は無理でしょ。原発に関わっていないカネでメシは食えない。関電のカネが血と肉と骨になってるわけやからな」。若者からは現実を見据えた複雑な思いに触れ、児玉議員は「(原発を)なくせっていうわけでもないし、頼りたいわけでもない。ただ、自分より1歳でも10歳でも20歳でも、孫かもしれない下の世代のことを考えて、我々は責任を持って選択していかなければならない世代なんだなというのは、しみじみと思う」と話した。(AbemaTV/AbemaPrimeより)