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■観客は"お堅い"職業の男性が多い?

 13日(土)、雨が降りしきる中、東京・新木場に300人を超える長蛇の列ができていた。彼らのお目当ては「キャットファイト」だ。

 女性同士の"取っ組み合いのケンカ"を見せるキャットファイトは、途中、胸が露わになるほど超過激でエキサイティングなバトル。ルールは普通のプロレスとは異なり「股を開いた状態で3カウント」など、強さよりも"エロさ"とパフォーマンス力が勝負の決め手だ。チケットは興行のたびに完売、YouTubeの再生回数は100万回以上にも上る。

 そして意外な点はもうひとつ。観客には警察官やお寺の住職、学校の先生など、"お堅い"職業の人が多いということだ。法律の仕事をしている久保雅猛さん(47)は、10年間欠かさず観戦してきたといい、「あの素晴らしい試合を観ると、強力なストレス発散になる」と話す。また、建築関係の会社に勤務しているという、マスクを被った「キャットキングSG」と名乗る男性は「観ている間は何も考えずに集中している。もう現実には戻りたくない…」と教えてくれた。

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 そんな観客たちを巻き込んだ、「月光闇討ちマッチ」と呼ばれるパフォーマンスもある。会場の観客が暗闇の中で選手に洋服を脱がされるというもので、この日も突如会場が真っ暗になり、再び灯りが点いた時には観客の男性の上半身が裸になっていた。

■精神障害に苦しみながら、二児を育てる母の姿も

 出場する選手は主婦や学生、アイドル、AV女優やプロ雀士など、様々な経歴を持っている。中には身長171cm・体重168kgの"超絶ワガママバディ"のさちこYokozuna選手のように、際立った特徴を持った選手も。丸太のような体格から生み出す"さちこローラー"が必殺技だ。

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 過激なバトルにもかかわらず、ファイトマネーは1試合あたり2万円ほど。なぜ彼女たちはリングに上がるのか。その理由について選手たちは「ストレス発散になるから」「もしかしたらキャットファイトが自分が生きている意義なのかも」などと語る。

 キャットファイターの一人で、選手として2年目を迎えたアザゼル娘(ももこ)選手は今、伸び盛りの新人選手として注目されている。

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 彼女が暮らすのは兵庫県・淡路島。実は二児を育てる母でもあるのだ。10代の頃からモデルとして活動してきたキャリアの持ち主でもあるのだが、人前で肌を晒す彼女に、夫は「やりたいねんからやったらいいし、やりたくなかったらやめたらいいし、嫌やと思ったら止めさせてるわって言われた」と理解ある言葉をかけてくれたという。

 そんな彼女がキャットファイトを始めたのは、ラウンドガールとしてスカウトされたのがきっかけ。そのうちリングに上がりたくなり、軽い気持ちで始めたそうだ。

 「試合が終わって控え室に戻ってきた時に、声も出ないくらいの状態で「お疲れ様でした」って言う自分がすごく好き」。

 リングの上で生き生きと自分を表現する彼女だが、実は幼い頃から精神的な障害に苦しんできた。

 「抗鬱剤を服用していたのも良くなかったんだと思う。本当はものすごく感性も感情も豊かなのに、それを全部抑え込んでいて。でも、薬を止めた瞬間、躁と鬱が混在してしまって、自分の腕を切ったりとか…」と振り返る。

 今でも精神的に不安定になってしまうこともあるという彼女だが、キャットファイトを始めたことで、少しずつ症状が改善されてきたという。

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 「以前は何か嫌なことがあったら直ぐ自分を傷つけることで癒されていたけど、傷つけたらダメだなと思う。仲間もお客様も、私以上に私を大事にしてくれる」と、今の心境を語った。

■興行主「メジャーにするつもりはない」

 4月に行われた新宿大会では大ベテランの鳳華(ほうか)選手と対戦。この日は、お酒を飲みながら行う「アルコールドランカーマッチ」だ。MCのかけ声に合わせ、次々とテキーラを飲み干す二人。

 酔いが回った様子を見せながらも、見事ギブアップを奪い勝利した桃娘さん「私の方が酒が強かったっちゅうことやな」鳳華選手に言い放った。しかし試合後、これまで見守ってくれた先輩に「しゃべるとボロが出ちゃうから」とアドバイスを受けた。桃娘選手は「教えて頂けるうちが花なんで、反省点もいっぱい」と素直に受け入れた。

 13日の大会ではキャットファイト界のアイドル・範田紗々選手と対戦。「ビューティフルアートマッチ」と呼ばれる、強さではなく、美しさやエロさによってポイントを競う試合で対戦。82ポイント対93ポイントという結果で、範田選手に敗れた桃娘選手。「見せ方がワンパターンにならないようにっていうこと。色んな自分の見せ方を学んでいきたいなって思っています」。

 キャットファイトの興行を行うCat Panic Entertainment代表のTHOGOさんは「プロレスをずっと見ていて、それと同時に、90年代の深夜番組は結構エロかったんです。工夫もあったし、アイデアもあったので、そういう自分の妄想を実現化したいなと思って、一回限りでやろうと思って始めたんですけど、ありがたいことにお客さんが詰め掛けてくれて。ズルズルやっていたら16年経っていました」と話す。

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 だが、THOGOさんはキャットファイトをメジャーにするつもりはないという。「地味な場所で、派手にやりたい。会場もあまりないので、場所を探さなければいけませんので」と、あくまでもアンダーグラウンドな世界観を大切にしていきたいという思いがあるという。

 桃娘選手に今後の抱負を尋ねると「選手としてはまだまだ未熟なので、とりあえず頑張っていきたいなって思う。母親としては人に、迷惑をかけない子供を育てたいなと思う」と力強く答えた。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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