■"不人気"は赤ちゃんの名付けランキングにも……
就任100日を過ぎ、政権運営に対して厳しい見方が強まるトランプ大統領。ついに弾劾裁判を求める声も出始めた。
ワシントン・ポスト紙は15日、トランプ大統領がロシアのラブロフ外相との会談で機密情報を漏らした報じた。同紙によると、これらの情報はアメリカが同盟国から提供を受けたもので、過激派組織ISに対する攻撃計画の内容などなど、機密性が高いものだという。今後ロシアが情報源を特定し、情報の入手を妨害する可能性もあると指摘している。
報道を受け、民主党のグリーン米下院議員が「以前も言ったが、今再び言う。大統領を"弾劾"すべきだ」と述べたほか、米上院司法委員長のレーヒー氏も「(情報漏えいが)実際にあったのかどうかは分からないが、上院情報委員会のバール委員長とワーナー副委員長が調査すると思う」とコメントしている。
一方、会談に同席したというマクマスター大統領補佐官は報道について「情報源や諜報活動については一度も議論されなかった。大統領は公に知られていない軍事作戦について情報開示していない」とを否定しているが、弾劾を求める声は国民からも上がっており、「IMPEACH TRUMP NOW」というサイトには、16日現在で97万1574人がトランプ大統領の弾劾を求める署名をした。
支持率低下は意外なところにも現れている。米社会保障局のデータによると、子どもにつけられた名前のうち「ドナルド」が順位を下げ、アメリカ大統領選が本格化した2015年に443位だったのが、2016年には488位と後退している。
■罷免に至るまでの高いハードルとは
アメリカを拠点に取材を行っているジャーナリストの堀田佳男氏は「漏れるはずのない密室での会議内容が漏れ、翌日にはワシントン・ポストに掲載された。ホワイトハウスもこの事には驚いている。会議のその場にいたのは、ロシア側のラブロフ外相とキスリャク駐米ロシア大使、アメリカ側がマクマスター大統領補佐官、ティラーソン国務長官、パウエル大統領補佐官、そして2、3人の若い補佐官という、限られたメンバーだったはず。この内の誰かがワシントン・ポストの記者にリークしたということになる」と話す。
堀田氏は「あくまで仮説の域を出ないが、ドイツ人の記者と話をしていた時、リークしたのはロシアのラブロフ外相かもしれないと言った。あるいは若い補佐官が情報をメールなどで第三者に話してしまった。それがワシントン・ポストの記者に漏れた可能性もある」とした。
果たしてトランプ大統領の弾劾裁判は現実のものとなるのか。実はアメリカでは過去に3度、弾劾裁判が行われている。
1度目はアンドリュー・ジョンソン大統領。閣僚の任免に対する問題で弾劾裁判を受けたが、結果として無罪に終わり、罷免には至らなかった。2度目は「ウォーターゲート事件」で有名なリチャード・ニクソン大統領。しかし本人が"罷免されるよりは"と、弾劾裁判に至る前に自ら辞職を選択した。3度目はビル・クリントン大統領。「モニカ・ルインスキー事件」と呼ばれる不倫騒動での虚偽証言で、弾劾裁判を受けたが、これも無罪に終わった。つまり、今まで弾劾裁判で罷免された大統領はいないということになる。
弾劾裁判のプロセスは、連邦議会下院の過半数の同意で実施が決議された後、上院で3分の2以上の賛同があれば「有罪」、そして罷免されるというものだ。果たしてトランプ大統領は、この高いハードルを越えて罷免されるのだろうか。
堀田氏はトランプ大統領の弾劾裁判にかけられる可能性について「五分五分だと思う。ただ、上院の3分の2以上の上院の賛同というのはやはり非常に高いハードル。罷免される確率は10%を切るくらいだと思う。ただ、今までの様子を見る限り、自ら辞任すするということもないだろう」と話した。
■クリントン氏も"活動再開"か
トランプ大統領は先週、トランプ陣営とロシアの関係を調査していると公表したFBIの長官を解任。そして今回の機密情報漏えい疑惑と、問題続きのトランプ陣営。逆風は強さを増すばかりだ。
この流れを受けてか、昨年の大統領選で敗北したヒラリー・クリントン氏も政治活動を再開。人々に活動への参加や公職選への立候補を施すための政治団体「Onward Together(共に前へ)」を発足させることをTwitterで明らかにした。
ヒラリー氏は「私たちはOnward Togetherを立ち上げます。行動を起こし選挙に出馬するような人々を奨励する団体を支援し、次世代のための明るく未来を築くために活動します。アメリカのために立ち上がる決意があるならあなたの名前を加え私たちの団体に参加してください」という趣旨のメールを支援者たちに送信。
団体の公式サイトに書かれている声明では「国の規模で直面している難題は現実だ。しかし我々が情熱と決意で難題に立ち向かえば目的を達成できるはずだ。このエネルギーを2017年、2018年、2020年、その先へと持っていこう」と呼びかけている。
堀田氏はアメリカ世論の趨勢について「ほとんどが保守派で、その代表がトランプ大統領。だが、国内での意見の対立がかなり大きくなってきている。そして、ホワイトハウス職員の中でも、反トランプの流れが大きくなってきているのは間違ってはいない」と指摘している。(AbemaTV/AbemaPrimeより)