![仏教の常識を打ち破る「テクノ法要」ニコ生で南無阿弥陀仏の大合唱も](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/4/c/724w/img_4cc71f59d0487ba19f651d654fa5a760119357.jpg)
あまりにも変わった法要だとして、大きな話題を呼んでいる「テクノ法要」。プロジェクターに映像を投影し、舞台照明でお寺の中を装飾。お経にテクノのリズムを乗せる。仏様を極彩色に照らして表現するのは「極楽浄土」だ。
「テクノ法要」を始めたのは福井県東郷二ヶ町にある浄土真宗本願寺派・照恩寺。17代目住職で、若い頃はDJとして活動していたという朝倉行宣さん(49)は「先人がお浄土の光を表現するために使った金箔や彫刻の技術を、今の技術でアップデートしたにすぎない」と話す。
今回朝倉さんが企画したのは「和紙」とのコラボレーションだ。「スクリーンとして和紙を使い、そこにお経をを投影する」。越前和紙職人の瀧英晃さんに相談すると、瀧さんも「越前和紙は光を透かすのは得意分野」とすぐ乗り気になった。最初に話をしたのは2月下旬。そこから話はトントン拍子に進んだ。
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朝倉さんが選んだのは、葉脈のような模様が立体的な和紙、その名も「脈」だ。「繊維が絡み合った様子がコミュニティのようで、お寺さんのイメージなのかな。朝倉さんが作った世界観の邪魔にならない程度に、テクノ法要の一部としてマッチしているといいなと思いました」(瀧さん)
法要を前日に控えた、今月2日。瀧さんが漉いた和紙4枚が張り出された。初めて和紙にプロジェクターで投影した様子を見た朝倉さんは「紙が生きている!瀧さんは紙で表現するアーティストだと思う。これで思いが伝わる気がする」と大満足の様子だ。
■クラウドファンディングで、そしてドワンゴの協力も後押しに
また、当時所有していた機材では光の演出が限られていたため、朝倉さんはプロジェクターやVJ・プロジェクションマッピングソフト、舞台照明機材を購入するためにクラウドファンディングで資金調達。2月には目標金額を達成し、設備はさらに充実。「まばゆいばかり。苦情が出るかな…」と朝倉さんは苦笑い。
さらに今回の演出を可能にしたのは、ニコニコ生放送を製作しているドワンゴの協力があったからだ。法要はネットで生中継された。「仏教に興味があって、ニコニコを使って多くの人に伝えたいと思った」と話すのはドワンゴの高橋薫さん。
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そして迎えた「テクノ法要」当日。この日訪れたのは、のべ250人以上。本堂に入りきらなかった人もいたという。
「前回はそんなに大きな反響になると思っていなかった。でも今回はそのこと(大反響)が予想されるので」
「みんなが一丸となってやるのはいいこと」
と、交通整理などを手伝う地域住民の姿もあった。「寺は元々皆様の支援があって成り立っているもの。それが新しい形になって、心強く思っている」(朝倉さん)。
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光と音、和紙のコラボレーションに参拝客は終始圧倒された。「感動した」「豪華でありがたい」「若者向きで良いと思う。私らみたいな年寄り向きじゃないけど」と賞賛の声が上がり、外国人たちも「とても面白い。とてもユニークだ」「テクノと仏教のコラボは超最高!」と大満足の様子。
法要後、「本願寺派としても発信したいとのお話をいただいた。やっとこれで怖がらずにテクノ法要が出来るのかと思い、とても喜んでいる」と参拝客に語った朝倉さんだった。
■「時代の変化の中で、新たな表現も求められているのではないか」
曹洞宗宝林寺住職の千葉公慈さんは、テクノ法要について「大変勇気ある取り組み。時代はこうやって始まるのかなという予感がした」と話す。
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元々「お経が聞こえにくい」という声を聞いて、お経の文字を映し出すというアイデアが浮かんだという朝倉さん。参拝客からは「実際に文字として現れると、『こういうことを言っているんだな』と、おぼろげなイメージとして文字から得るものも感じる」という感想があったそうだ。
朝倉さんは、今後の展開として「『お通夜法要』というのをやりたい。通夜は夜を通す、オールナイトという意味。DJで回して、テクノの法要もありながら、というのを考えている」と話す。一方、禅宗である千葉さんの立場としては、少し違和感もあるようだ。「"沈黙"や、ビジュアル的な欲求に心が囚われることからいかに逃れられるかを目指すものなので、テクノ法要とは真逆ですね(笑)」
ただ、「テクノ法要」に対し批判の声もあることについて千葉さんは「もともと仏教では仏像は作ってはならないものであったということを挙げ、「仏教はタブーに挑戦する連続だった」と話す。
「お坊さんのところに多くの人が集まって話しを聞くという意味で、私は仏教は"ライブ"だと思う。平安時代には、空也上人が始めた、太鼓や鉦(かね)を鳴らしながら踊り、唱える"踊念仏"もあった。本来の目的は、仏の教えやお経の言葉をどう正しく理解するかということ。その表現の違いで宗派も分かれていった。時代の変化の中で、新たな表現も求められているのではないか」(千葉さん)
(AbemaTV/AbemaPrimeより)