フリー、他団体選手の参戦も含め盛り上がりを見せている全日本プロレスで、新鮮な顔合わせの三冠ヘビー級選手権が行なわれる。
(石川の挑戦を受ける三冠王者・宮原)
5月21日、後楽園ホール大会でのタイトルマッチ。チャンピオンは、昨年、史上最年少の26歳でベルトを巻いた宮原健斗。対する挑戦者は初参戦でチャンピオン・カーニバル優勝を果たした石川修司(フリー)だ。
昨年、優勝した関本大介(大日本プロレス)に続いて、大日本、DDTを主戦場としてきた石川が全日本のリーグ戦で頂点に。インディーのカテゴリーに入る団体で闘ってきた選手が老舗で活躍することで、全日本も活性化している。
石川曰く、宮原は「最高」のチャンピオン。しかし石川は「最強」を目指しており、この試合は“最強vs最高”どちらが上かをきめようというテーマがあるという。195cmの巨体から繰り出す攻撃は前哨戦でも猛威を振るっており、さらに新技「宮原殺し」の投入も予告。初出場初優勝だったチャンピオン・カーニバルの勢いそのままに戴冠を狙う。
一方の宮原は、いまや完全に全日本の“顔”となった感がある。潮崎豪と組んで世界タッグ王者となり、諏訪魔とのコンビでは最強タッグ優勝。そして昨年、三冠獲得で独り立ちを果たした。そこから関本、秋山準ら数々の挑戦者を退け、激闘の連続の中でベルトを守り続けながら全日本プロレスというブランドそのものの再興にも取り組んできた。
全国各地でプロモーション活動に励むのはおなじみの光景。試合後の「全日本プロレス、最高ですか!」「最高!」のコール&レスポンスも定着している。ファンを喜ばせ、全日本プロレスを盛り上げようという献身ぶりは、かつての棚橋弘至を思わせると言ってもいいだろう。
あらゆる角度から繰り出されるヒザ蹴り“ブラックアウト”とシャットダウン・スープレックスを必殺技とする試合ぶりもスリリングで、三冠戦では常に好勝負、名勝負を残してきた。昨年11月の両国国技館大会では、諏訪魔にも勝利している。
全日本内部からの挑戦者はほぼ“一周”した中、石川の登場は宮原にとっても新鮮なのではないか。“最強”を掲げるインディーの大巨人が歴史あるベルトを巻く快挙を達成するか、宮原・全日本の“最高”ぶりが更新されるか。上半期屈指の大一番だ。
文・橋本宗洋