5月のDDTは2週連続で重要な試合が続くことになった。まずは5月21日、札幌ススキノマルスジム大会で、竹下幸之介&彰人vs入江茂弘&樋口和貞のKO-Dタッグ王座決定戦を実施。
(5.21札幌でタッグ王座決定戦に臨む竹下と彰人)
竹下は勝てばKO-D無差別級(シングル)に続き二冠となる。彰人との新ユニットALL OUTに勢いをつけるためにもほしいベルトだ。
対する入江&樋口は、DDTでは珍しいパワーファイターコンビ。若手ブランドDNAからの卒業が決まっている樋口は、戴冠を弾みにしたい。
この札幌大会では、佐々木大輔vsアントーニオ本多のエクストリーム級選手権試合も。この王座はタイトルホルダーが試合形式を決定できるもので、今回は反則裁定なし、つまり反則OKのノーDQマッチで行なわれる。佐々木とアントンは、かつては同じユニットに所属するなどお互いをよく知る仲。それだけに、反則が認められるしあいでも知力を尽くした攻防が見られそうだ。佐々木いわく「ファニー」な試合をすることが多いアントンの“怖さ”が出るかどうかにも注目。
(前哨戦での佐々木の反則に「アントン袋の緒が切れた」とノーDQ戦を訴えたアントン)
その翌週、5.28後楽園ホール大会では、竹下がKO-D無差別級王座の防衛戦を行なう。挑戦者はヤス・ウラノ。「いつでもどこでも挑戦権」を行使してのタイトルマッチだ。この「いつどこ権」は、負傷欠場前の高山善廣が持っていたもの。この大会でも、もともとは高山が挑戦予定だった。
しかも、ウラノはこの試合を最後にDDTから独立し、フリーになる。高山、自身のDDT卒業、タイトルマッチ。それを受け止める竹下。いくつもの感情が重なり合う試合だ。竹下は、プエルトリコからスタートし、数々の団体を渡り歩いてきたウラノのキャリアを「僕にはないもの」とし「その歴史を超えたい」と新エースらしい意気込みを語っている。
そして、この5.21札幌、5.28後楽園では、観客による動画撮影も許可されることになった。これは全面解禁を見据えての試験的なもので、これまでにも実施されている。今回はタイトルマッチのある後楽園大会でも行なわれるということで、全面解禁に向けて少しずつ前進していると言っていいのだろう。
海外アーティストのライブでも動画撮影OKが話題になることはあるが、確かに商業利用でなければ、ファンによるSNS、YouTubeへの投稿はプロモーションにつながると考えることもできる。格闘技では『KNOCK OUT』が動画撮影を解禁している。
常にスマホを頭上に掲げて撮影されては後ろの人間が迷惑、という問題もあるが、そのへんもDDTは考慮しており、「スマホ、携帯でのみ撮影可(入場など音楽を使った場面のSNSへのアップはNG)」、「自分の席以外での撮影、歩きながらの撮影は禁止」、「目の高さ以上での撮影は禁止」など、事前にルールが明文化されている。また実際に会場で見ていると、現時点では撮影に集中するよりも“ライブ感”を楽しみたいというファンが多いようにも感じる。
登録なし、無料で楽しめるAbemaTVの登場、新日本プロレス、DDT、WWE、UFCの有料動画サイトなど、SNSも含めてファンが試合を見る(情報を得る)環境は大きく様変わりしている。そんな中でDDTの“動画撮影解禁”がファンにどう受け止められるのか、札幌、後楽園でのタイトルマッチのどんな場面をファンがSNSにアップするのかは興味深い。
文・橋本宗洋