中国が主導する「RCEP(東アジア地域包括的経済連携)」の閣僚会合が5月22日、ベトナムで開催された。
「RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership)」とは、TPP(環太平洋経済連携協定)と同じように参加国間の自由貿易の障害となる関税など、さまざまなものを取り除くことを目的としており、中国主導のため“中国版TPP”とも言われている。TPPからアメリカが抜けたことで、TPPよりも経済規模が大きく、存在感が増してきている経済連携だ。自分たちに有利なルールを作りたい中国と、TPP並みの高度な貿易ルールを目指す日本が対立している状況となっている。
日本政府はTPP発効を先行させることで、RCEPを主導する中国を牽制し、参加国にTPP並みの高水準の貿易ルールの重要性を訴える狙いだった。しかし、アメリカのTPP離脱でそのシナリオが崩れた。RCEPの参加国からは、関税の撤廃率などで高い水準のルールを作るより、早期の協定発効を優先させたい声も挙がっていて、中国の追い風になりかねないという。このため日本政府関係者は今後、アジア・太平洋地域でアメリカから中国へのパワーシフトが本格化するのではないかと警戒感を強めている。
テレビ朝日コメンテーターの川村晃司氏は「RCEPはものすごく大きな規模。TPPとダブっている国もあるが、その中で中国が主導してアジア全体の貿易及び関税等をかさ上げすることによって、中国を主体とした経済発展をしていこうというもの。さらに、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を中国が主体で進め、RCEPを取り込むことによって投資・金融・経済をやっていこうとしている」と、中国の思惑について語る。
その上で、「日本としては若干悲観的になるかもしれないが、TPPとRCEPを両方とも日本が主体的に運営できるかというと、どちらがいいのかなということを考えている間に中国のRCEPの方が進んでいくということが懸念される。TPPも残った11カ国でうまくやっていけばアメリカが戻ってくるかというと、そこはどうか。RCEPの方は質より量という感じだが、日本は質も追求しなければならない。中国ともTPP関係国とも、両方うまくハンドリングしていくというのはなかなか難しい」と語った。
しかし、やはりRCEPのような枠組みには「入っておいた方が有利」と川村氏は述べる。「日本は輸出大国であるため、日本の製品は買ってくれるし、海外の製品も入ってきやすい」と話した。
(AbemaTV/原宿アベニューより)
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