23日、日本外国特派員協会で自衛隊制服組トップの河野克俊・統合幕僚長(海将)が会見を開き、自衛隊が取り組む現下の諸問題について説明した。
河野統幕長は日米同盟について「トランプ政権が発足する前には駐留経費の問題で日本に対し非常に強い姿勢でキャンペーンに臨まれたということがあり、それについては懸念をしておりました。しかしながら、トランプ政権発足後、安倍総理とトランプ大統領の会談、稲田防衛大臣とマティス国防長官の会談等を通じて、全く変化はなく、より深化したと思っております」と説明。
河野統僚長が北朝鮮問題について「我が国を含む地域国際社会の安全保障に対する重大かつ差し迫った脅威であり、その脅威は新たな段階に入ったと見ております」と述べたとおり、記者からも北朝鮮に関する質問が集中した。
14日に発射されたミサイルが高度2000kmに達したとみられていることから、アメリカ本土が射程に入るICBM開発の可能性について問われた河野統幕長は、詳細な分析が必要としながらも「その方向に着実に進んでいるとは思います」「弾頭の試験をした可能性もある」とコメント。また、核の小型化の成功ついても「現時点では明確には言えないと思います。ただ我々としては楽観できない」とした。
その上で「北朝鮮に時間を与えれば、そのような技術を持つという可能性は高いと思います。したがって、ミサイル・核を放棄させる国際社会の圧力が重要だと思います」と指摘した。
北朝鮮は今年3月、同時に4発のミサイルを発射している。多数のミサイルを同時に発射された場合の迎撃能力の限界を懸念する声もある。
河野統幕長はこれに対し「飽和攻撃といいますか、多数撃たれた場合に非常に厳しいものがあるというのはその通りです。ただ、そのために新型のSM-3ブロック2Aの開発を進めておりますし、イージス艦の増勢も進めております」「(自衛隊が取りうる手段は)憲法上の制約があって限られていますが、そのなかでBMD(弾道ミサイル防衛)は認められている手段です。さらに効果的なBMDの体制について検討しているということです」とした。
また、海外メディアの記者からは、憲法9条をめぐって、安倍総理が1・2項を維持した上で自衛隊を明記するという改正案について言及したこと、また自衛隊を「違憲」とする専門家も多いことについての質問も飛び出した。
河野統幕長は「憲法というのは非常に高度な政治問題でありますので、統幕長という立場から申し上げるのは適当ではないと思います。ただし、一自衛官として申し上げるならば、自衛隊というものの根拠規定が憲法に明記されるということであれば、されることになれば、非常に有り難いなとは思います」とコメントした。